吉村文彦研究室
私たちの身の回りには、プラスチックや医薬品など数多くの有機化合物があり、社会を豊かにしています。有機化合物のなかで動植物や微生物が作りだすものを天然有機化合物(天然物)とよびます。天然物には特徴的な化学構造や顕著な生物活性が見られるものが多数存在し、創薬、食品科学、生命科学など多様な分野から注目を集めています。当研究室では、入手容易な単純な分子を出発物質として、医薬品や農薬の種となる天然物の人工合成(全合成)に取り組んでいます。並行して、天然物や複雑な構造をもつ有機化合物の合成の効率化につながる新しい反応の開発も行っています。ナノの世界での「ものづくり」に興味のある人、一緒に研究しましょう。
| 教員名・所属 | 吉村文彦 / 総合理工学科 環境バイオテクノロジーコース |
|---|---|
| 専門分野 | 有機合成化学、天然物化学 |
| 研究テーマ | 特異な構造をもつ生物活性天然物の全合成研究、複雑な有機化合物の合成に役立つ合成反応の開発 |
| 研究キーワード | 生物活性天然物、全合成、sp3炭素豊富化合物、第四級不斉炭素、反応開発、ニトリル |
| 教員紹介URL | https://www3.med.teikyo-u.ac.jp/profile/ja.d5200f2f0183aec7.html |
飽和結合に富む化合物(sp3豊富化合物)は、平面性の高い化合物とは異なり三次元的に広がった構造をとります。これらの化合物は標的生体分子と特異的かつ強固に相互作用する可能性が高いことから、近年の医薬品・農薬の開発研究において再評価されています。しかし、sp3炭素豊富化合物の合成は、平面性化合物の合成と比べると、炭素骨格の構築や立体化学の制御などに課題があるため困難です。私たちはsp3炭素豊富化合物のなかでも、特に合成が難しい4つの非等価な炭化水素基から構成される「第四級不斉炭素」を含む生物活性天然物の全合成研究を行っています。将来的には合成化合物を活用して、活性発現機構の分子レベルでの解明にも取り組む予定です。
合成反応の開発手法において、新しい反応化学種の開拓は多くの波及効果をもたらすため有益です。私たちは構造的特徴から特異な反応性が期待されながら、調製方法や取り扱いが難しいため見過ごされてきた高反応化学種を活用することで、複雑な構造をもつ化合物の合成を効率化する反応の開発を行っています。具体的には、ユビキタスなアルカンニトリルから調製可能なN-シリルケテンイミンとニトリリウムイオンに着目して、有機合成化学の屋台骨である炭素-炭素結合形成反応やヘテロ官能基化反応などの開発をめざします。