医学物理学研究室(小金澤明登研究室)
医学物理学研究室(小金澤明登研究室)

佐々木茂

医学物理学は理工学の知見を医学に応用する学術分野です。理学、光学、保健学など、さまざまなバックグラウンドをもつ研究者が活躍しています。小金澤研究室では、がんの放射線治療に関連する医学物理学の研究、特に放射線計測に関連する技術開発に取り組んでいます。研究テーマは線量分布評価法、生体呼吸監視システム、光学CTの開発など多岐にわたりますが、卒業研究ではハードウェアとソフトウェアの両方を体験できるテーマを用意しています。また他大学や企業との共同研究も積極的に展開しています。

基本情報

教員名・所属 小金澤明登 / 理工学部情報電子工学科
専門分野 医学物理学
研究テーマ 高精度放射線治療および小線源治療の医学物理学
研究キーワード 放射線治療、小線源治療、ガンマ解析、イベントミキシング、ゲル線量計、光学CT、近赤外線カメラ
教員紹介URL https://www3.med.teikyo-u.ac.jp/profile/ja.09383660308ba8a2.html

研究紹介

ガンマパス率予測と予測精度評価法の開発
高精度放射線治療では、治療計画(線量分布シミュレーション)で作成した線量分布がその通りに照射できるか事前に検証測定が必要で、治療計画と実測の一致度を100点満点で評価するガンマ解析を行います。近年は検証測定の結果(ガンマパス率)をAI等の技術を用いて予測し、測定を省略しようという研究開発が行われています。
私達はこれまで線量不確定性や深層学習を用いたガンマパス率予測法を開発してきました。また開発した予測モデルそのものをフェアに評価する手法を、素粒子原子核実験で使われてきたイベントミキシングの考え方を動員して開発しています。

近赤外線カメラによる生体の呼吸監視システムの開発
肺がんや肝細胞がんなどの放射線治療では、呼吸に同期した放射線ビームを腫瘍に狙い撃ちする必要があります。私達はこれまで近赤外線カメラで体表面の3次元的な動きを追跡するシステムの開発に取り組んでいます。放射線治療装置は様々な方向から腫瘍にビームを照射するため、呼吸監視カメラの最適な設置位置と角度は症例ごとに異なります。そこで私達は、カメラの位置と角度の校正を自動で行うシステムを開発し、カメラの設置と取り外しを瞬時に行うことを可能にしました。また、このシステムで得られた呼吸データにより、安静時の呼気時(息を吐いた時)の体表面位置(ベースライン)が頭尾方向にも起こり得ることを初めて発見しました。

In-air readout 光学 CT の開発
高精度放射線治療で事前に行われる検証測定で、高精度な3次元線量分布を測定できる検出器としてゲル線量計が注目されています。私達は色素ゲル線量計の読み出しに用いる光学CTシステムの開発に取り組んでいます。光学CTはゲル線量計と同じ屈折率の液体で満たした水槽を用いるのが一般的ですが、私達は液体を用いずに、代りに光の屈折を補正して線量分布の断層写真を撮影する技術開発に取り組んでいます。この開発により、軽量な装置で高速に線量分布データを取得することが可能になり、これまで実現し得なかった速さでゲル線量計を用いた事前検証が可能になることが期待されます。

論文発表

題名 研究室 内容
Unbiased evaluation of predicted gamma passing rate by an event-mixing technique 小金澤明登研究室 詳細

学会発表

演題名 学会名 研究室 内容
In-air readout 光学 CT の開発 第12回3次元ゲル線量計研究会 小金澤明登研究室 詳細