本センターは、医真菌学の発展のための教育および研究を精力的に行っている研究機関です。真菌症の診断・治療法の開発をはじめとし、医真菌学において多岐にわたる研究を行いながら、一方で病原真菌株の収集保存および分譲を行っています。
コアラを菌から救う研究活動を行っています
2001年に日本で初めて動物園のコアラから、主な死因でありコアラ病とも呼ばれる熱帯型のクリプトコックス感染を発見しました。また、世界に先駆けてコアラ・クリプトコックス症の遺伝子診断法を開発・実用化するとともに、コアラ・クリプトコックス症の治療にも成功しました。クリプトコックス感染の発見以来、国内の動物園のコアラを調べ、各動物園と協力してコアラの健康を守っています。今後、2021年8月をめどに日本国内で飼育下にあるコアラ全頭から検体を採取し、培養検査・疫学解析・飼育管理の検討を行ったうえで、2022年2月に公益社団法人日本動物水族館協会へ報告を行う予定です。日本国内のコアラを守る、重要な研究成果が期待されます。
本センターは広く医真菌学の発展をめざしています。その一環として、研究の継続、教育の向上、さらには積極的な国際交流に取り組んでいます。
本センターは、冲永 荘一総長(当時)の発案により、1983年に山口 英世教授を初代センター長に本学医学部内の研究機関、帝京大学医学部医真菌研究センターとして設立されました。1984年には日本微生物株保存連盟(現・日本微生物資源学会)にも加盟し、今日まで有用な真菌株資源の保存活動を進めています。
1992年には現在の形である帝京大学付置研究機関へ改組、帝京大学医真菌研究センターとなり、次いで1995年にはセンターの英語名称も改められ、Teikyo University Institute of Medical Mycology(TIMM)としています。
2021年からは冲永 寛子副学長がセンター長を務めており、2023年にはセンター設置から40周年を迎えます。
本センターは、八王子キャンパス内に設置されています。センターでは日々研究を行ったり、休み時間には研究者や学生が集って分け隔てなく議論を行ったりしながら、互いに切磋琢磨しています。