高等教育開発センター(Center for Teaching and Learning, Teikyo University:CTL)は、本学の「建学の精神」および教育理念である「自分流」、教育指針である「実学・国際性・開放性」を実現する教育の推進のための活動を進めます。本センターは、高等教育における教授法、教育課程、教育評価等の教授システムに関して調査・改善すること、および、ファカルティ・ディベロップメント(以下、FD)を推進することを目的とします。
IoT(Internet of Things)や人工知能(AI)の活用による産業構造の変化、本格的な人口減少時代の到来など、現代社会は私たちがかつて経験したことのないスピードで大きな変化が進行していると言われています。このような社会の急激な変化の中にあって、高等教育に求められる役割はより一層拡大するとともに、その重要性と多様性は増しています。今後到来する新たな社会に対応できるような能力を身につけた人材を育てるために、各高等教育機関には、教育の質向上をめざした内部質保証システムの構築とその実質化を確実なものとすることが期待されていると言えるでしょう。 本センターは、2011年4月に八王子キャンパスのFD活動を推進する組織として設立され、教員の授業改善や学生の学びに資することを目的とした諸活動を関係部署との連携により進めて参りました。現在は、「高等教育研究部門」「教育方法研究支援室」「教学IR推進室」「文章表現教育部門」の4部門を構えるとともに、「帝京大学FDネットワーク」の中核として、本学における教育の質保証の実質化を多角的に支援する組織として、その役割の重要性も増しているところです。
これまで本学では、学部や学科、研究科などでの委員会による個別のFD活動が主体でした。しかし、2008年に大学設置基準の改正によるFDの義務化により、大学としてよりFDに対する取り組みが求められるようになりました。また、取り巻く環境の変化によって大学に通う学生の学力も多様化が進み、大学の教員にも考え方の多様化が、さらに求められるようになってきました。そういった背景を受け、2011年にFD活動を充実させ、教学全体の改善をめざすために設立されたのが本センターです。 設立後は、教員が研究活動として授業改善に取り組むSoTL(Scholarship of Teaching and Learning)プロジェクトの導入やFDフォーラム・FDセミナーの定期開催、教職員の職能開発をめざした各種研修の実施など、精力的な活動を続けています。
SoTLとはScholarship of Teaching and Learningの略で、「教員による授業実践に関する学術的探求を通して教授・学習過程を改善する取り組み」のことです。当センターでは、FDへの取り組みとして2017年度よりSoTLプロジェクトを導入し、教員の授業研究を支援しています。
SCOT(Students Consulting on Teaching)とは、希望する教員に対して、教室内活動に関する情報を収集して提供するプログラムです。大学教育の質の向上と教室内活動を学生の視点から提供することを目的とし、授業と学習に関心を持つ学生によって行われます。SCOTになるには、当センターで有益な情報を教員に提供できるように、シラバスとはどのようなものかなど、FDに関するトレーニングを受けたあと、審査のうえ正式なSCOTとして認定されます。本学は日本の中では初めてSCOTに取り組んだ大学で、2012年度より活動を行っています。