先端機器分析センター
先端機器分析センター

先端分析機器を用いて学際研究の発展に貢献します

核磁気共鳴、質量分析、電子顕微鏡をはじめとするさまざまな機器分析装置は、研究に必要不可欠な設備ですが、近年の科学技術の発展に伴い、さまざまな実験設備・装置が開発されるとともに、これらの分析装置の高性能化が進んでいます。
本センターは、宇都宮キャンパスにある最先端の分析装置や、電子顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡など共用性の高い装置を集中的に管理し、研究・教育現場での利用および各分野への応用を推進することを目的に2018年に発足しました。最先端の分析機器を用いた植物ホルモン等の微量分析などの技術支援のほか、大学院生・学生に対する技術セミナーなども実施しています。本学では、すでに国内外の研究者との共同研究を活発に行っていますが、研究・教育支援体制をさらに充実させ、学際研究の発展に貢献します。

先端機器分析センターについて

センターの理念

当センターは、宇都宮キャンパスに既存の機器、また今後導入する共用性の高い先端機器を大学全体の研究資源と位置づけ、利用、保守、管理ならびに運用を共同で行うことを目的としています。
研究の推進役となる機器を当センターにて一元化することにより、運用の経済性と効率性を高めることが可能になりました。今後、本学の研究体制がより一層強化され、学際研究への発展に大きく寄与することが期待されます。

センター長柳原 尚久教授
センター長 柳原 尚久教授

昨今の研究は大学・企業を問わず、学際化が益々顕著になっており、研究を推進するうえで、高度な装置や機器が不可欠となっています。一方、これらの装置や機器は高性能であるが故に高額であり、個々の研究室で対応することが困難になっています。本センターは、これらの高額な装置や機器を大学全体の研究資源と位置づけ、購入・利用ならびに運用を経済的かつ効率的に行うことを目的とし、キャンパス内の研究体制を強化すると同時に、研究者への利便性向上もめざし、研究の推進役を努めたいと思っています。
本センターは上述の基本理念に基づき、2018年4月に創設され、今年で3年目を迎えます。この度、センターの記事を執筆するにあたり、ご挨拶かたがた、センターが創設されるまでの経緯を簡単に説明させて頂きたいと思います。

本センター創設の礎を築いた先生がお二人いらっしゃいます。お一人目は横田孝雄教授です。横田先生が立案し統轄された「植物におけるステロイドホルモンの機能と系統発生」に関する研究プロジェクトが、2008年〜2012年にかけ文部科学省が管轄する私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に採択されました。このプロジェクトで購入・設置された主な機器は次の通りです。

  • ICP(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置)
  • GC-MS/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析装置)
  • LC-MS/MS(液体クロマトグラフィー質量分析装置)
  • Q-TOF/MS(四重極飛行時間型質量分析装置)
  • リアルタイムPCR

お二人目が山根久和教授です。横田先生のプロジェクトを引き続き、横田先生と同様の支援事業に採択され、2013年〜2017年の5年間、「植物オキシリピンの生理機能の解明とその応用」に関する研究拠点が、当キャンパス内の理工学部バイオサイエンス学科内に設置されました。このプロジェクトで購入・設置された主な機器は次の通りです。

  • 共焦点レーザー顕微鏡 
  • 卓上走査型電子顕微鏡
  • イメージング質量分析計 
  • 高速液体クロマトグラフィー
  • バーチャルスライドスキャナー 
  • レーザーマイクロダイセクション
  • 特定網室 

さらに、上記に挙げた装置・機器以外にも宇都宮キャンパスは、GC-MS(ガスクロマトグラフィー質量分析装置)、LC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析装置)、LC-TOF-MS(飛行時間型質量分析装置)、NMR(核磁気共鳴装置)、X線回析装置、FIB(フォーカスト・イオンビーム加工装置)、透過型電子顕微鏡、EDS元素分析装置付走査型電子顕微鏡、など、多種多様な研究施設・装置を保有しています。

以上のように、お二人の教授が獲得された二つの大型プロジェクトと既存の機器を併せると、大学の莫大な研究資産になります。同時に、プロジェクトが継続された10年間で、学内の共同研究の確固たる基盤が構築され、微量定量分析を行うためには不可欠な、種々の試料の分離・精製に関するノウハウも確立されました。
このような経緯から、質・量共に優れた分析装置・機器、さらにはこれまでに蓄積された分析技術のノウハウを最大限に活かすべく、2017年に山根先生が中心になり、分析センターを発足するためのワーキンググループが立ち上がり、学長・理事長先生の快諾を受け、2018年の4月に「帝京大学先端機器分析センター」が創設されました。本年、2019年4月をもって1年が経過しました。その間、LC-MS/MSの分析依頼は、学内外を併せて97件、サンプル数にして2,130件にのぼります。また、当センターに所属する教員により、既に5報の論文が国際的な雑誌に掲載されております。さらに、当センター主催のもと、外部から講師を招へいし、「技術セミナー」および「研究セミナー」をそれぞれ2回ずつ、計4回のセミナーを開催することができました。
創設後1年で上述の成果を挙げることを可能にしたのは、横田先生と山根先生の薫陶を受け継いだセンター所属の各教員と専任技術職員の研究への情熱の賜物です。
当センターの喫緊の目的は、創設から3年後を目処に私学事業団への認可申請を行うことです。今年度以降もこの目的を達成するべく、今まで以上に業績を積み重ね、本学の研究体制のいっそうの強化を図るために、さらなる先端機器の確保と効率的運用に努めてまいる所存です。
今後とも、ご関係の皆様からのご指導・ご鞭撻を賜り、当センターを益々発展させていきたいと思います。

メンバー

センター長
柳原 尚久教授

橋本 敬三教授
内田 健一教授
朝比奈 雅志教授
榎元 廣文准教授

アドバイザー
横田 孝雄
山根 久和

専任職員
湯本 絵美

(2023年4月現在)

研究内容

主な研究内容

  • 質量分析計(LC-MS/MS等)を用いた生理活性物質(植物ホルモン等)の分析
  • ナズナ、イネなどを用いたオーキシン、ジャスモン酸その他植物ホルモンとそれに関連した二次代謝産物の定量分析

参考

  • LC-MS/MS依頼分析実施件数
    (サンプルの効率的な前処理法確立、新規物質の分析手法の確立)
    • 2018年度 97件 2132サンプル
    • 2019年度 106件 2934サンプル
    • 2020年度 130件 2702サンプル
    • 2021年度 146件 2728サンプル
    • 2022年度 119件 2773サンプル
  • イメージング質量分析計を用いた栄養・機能性成分等の局在解析
  • 電子顕微鏡を用いた生物材料、無機材料の観察と元素分析
  • その他、ICP、NMRを用いた無機・有機化学的分析、等
研究内容

活動報告

活動について

先端機器分析センターの研究活動

演題名 学会名 発表年度 内容
LC/MSを用いたブラシノステロイド簡易分析法の検討 植物化学調節学会第54回大会 2019年 詳細

題名 雑誌名 発表年度 内容
The simple and rapid quantification method for L-3,4-dihydroxyphenylalanine (L-DOPA) from plant sprout usingliquid chromatography-mass spectrometry. Plant Biotechnology. DOI: 10.5511/plantbiotechnology.21.1126a 2022年度 詳細
Plant hormone profile and control over isoprene biosynthesis in a tropical tree Ficus septica Plant biology, https://doi.org/10.1111/plb.13386 2022年度 詳細
Propiconazole-induced brassinosteroid deficiency reduces female fertility by inhibiting female gametophyte development in woodland strawberry. Plant cell reports 2022年度 詳細

関連学科の研究活動について

活動報告

共焦点レーザー顕微鏡

共焦点レーザー顕微鏡

蛍光標識した試料の連続断層像を高解像度のイメージで取得し、コンピュータによって三次元情報の再構築を行うことができる、現代の細胞分子生物学には必須のツールです。

卓上走査型電子顕微鏡

卓上走査型電子顕微鏡

複雑な前処理なしに低倍率から数千倍までの観察でき、冷却ステージを備えているため、ダメージを受けやすいサンプルを乾燥させることなく観察することも可能です。

レーザーマイクロダイセクション

レーザーマイクロダイセクション

組織切片を顕微鏡で観察しながらレーザーで特定部位を切除し、回収できる装置です。

イメージング質量分析計

イメージング質量分析計

組織切片を直接質量分析し、得られた情報をもとに生体分子のイメージングができる装置です。

HPLC(高速液体クロマトグラフィー)

HPLC(高速液体クロマトグラフィー)

培養された微生物から有効成分を分離・検出から単離、さらには有効成分の同定・定量まで広く対応できる装置です。

バーチャルスライドスキャナー

バーチャルスライドスキャナー

組織標本、凍結切片などの高解像画像データの取得に使用します。

DESI(イメージング質量分析システム)

脱離エレクトロスプレイ-イオン化(DESI)イメージング質量分析システム

マトリックスフリーで生体分子のイオン化が可能なため、特に低分子量代謝物のイメージングに優れているイメージング質量分析計です。
 

質量分析計(LC-MS/MS)

生体からの抽出物や薬品中などに含まれる微量成分の同定、定量解析などに使用します。試料のイオン化方法や、検出方法によってさまざまな種類があるため、目的や試料の性質に応じて使い分けます。

交通アクセス

アクセスマップ

本センターは、宇都宮キャンパスを拠点に活動しています。

帝京大学先端機器分析センター
〒320-8551 栃木県宇都宮市豊郷台1-1
(宇都宮キャンパスバイオサイエンス学科棟1階108実験室)

宇都宮キャンパス 交通アクセス

お問い合わせ

帝京大学先端機器分析センター

TEL
028-627-7111(内線:6715)
E-mail
aiac@riko.teikyo-u.ac.jp