植物生理学研究室 (朝比奈雅志研究室)

当研究室は切断傷害や光・温度などの環境変化に対する植物の応答について、特に植物ホルモンの働きと遺伝子の機能に注目した研究を行っています。植物の傷の修復(組織癒合)は、自然界での生存に必須な傷害応答のメカニズムであり、農業では接ぎ木として利用されている非常に重要な現象です。このメカニズムを明らかにするため、遺伝子発現解析などの分子遺伝学的手法のほか、果菜類の接ぎ木実験や、顕微鏡を用いた微細構造の観察など、さまざまな手法を使って研究を行っています。

基本情報

教員名・所属 朝比奈雅志准教授 / 理工学部バイオサイエンス学科
専門分野 植物生理学、植物分子生物学
研究テーマ

切断された植物組織の癒合・環境応答メカニズムの解明

研究キーワード 植物生理学、植物ホルモン、接ぎ木、組織癒合、遺伝子、環境応答
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研究紹介

植物切断組織の癒合メカニズム

植物の茎は、植物体を支えるとともに、根で吸収された水とミネラルを地上部の葉や芽などに送り、葉で合成された同化産物を根に送る重要な連絡経路として働いています。その茎が、風などによる物理的傷害や虫などによる食害などを受けると、その傷を回復するために、失われた組織を再生し、組織の癒合(ゆごう)が起こって傷が治ります。私たちは、モデル植物であるシロイヌナズナの切断された花茎の癒合に必須な転写因子を同定し、これらが植物ホルモンによって制御されていることを見出しました。現在、オーキシンやジャスモン酸などの植物ホルモンが転写制御因子の遺伝子発現の制御を行うメカニズムの解明と、それらの転写制御因子が司令塔となって細胞分裂や細胞壁に関連する遺伝子の発現を通して組織の癒合を成し遂げるメカニズムの解明に取り組んでいます。

接ぎ木接着にかかわる植物ホルモンの分子メカニズム

接ぎ木の癒着は穂木と台木の間を新たに分裂した細胞が埋めることで行われ、この細胞分裂には植物ホルモンのオーキシンが必要であることが知られています。私たちの研究グループではシロイヌナズナの芽生えを用いて、オーキシンによって誘導される2つのNAC型(NAM, ATAF and CUC)転写因子が冗長的に働いて、胚軸間接ぎ木における維管束組織の細胞分裂を促進することを明らかにしました。また、オーキシンがジベレリンの合成を促すことで、皮層の細胞成長にかかわることも明らかにしています。この研究成果は、植物の傷害回復・組織再生の基礎的な分子メカニズムの解明に繋がるだけでなく、新たな農業技術への応用も期待できます。

植物の環境応答、器官分化にかかわる植物ホルモンの機能解明

トマトなどの接ぎ木接着に対する植物ホルモンの関与、雌雄異花植物(ホウレンソウなど)の雌雄分化や、シダ植物の造精器・造卵器形成に関与する植物ホルモンの機能解明などを目的に研究を行っています。また、環境変化に応じた植物ホルモン生合成や遺伝子発現の時空間的解析を目的に、レーザーマイクロダイセクション法を用いた微量組織からの解析法の確立に取り組んでいます。

論文発表・学会発表

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