帝京大学 薬学部 准教授
伊藤弦太 先生
2003年に東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科へ進学、同研究科助手(のち助教)となる。2013年から英国Dundee大学で博士研究員を務めたのち、2017年に東京大学大学院薬学系研究科特任講師を務める。2021年より帝京大学薬学部講師となり、2025年から准教授を務める。
伊藤弦太先生の研究テーマは、アルツハイマー病とパーキンソン病の原因解明。どちらも脳神経が何らかの原因によって傷つくことにより生じる疾患で、PETスキャンによる検査で、脳がどのようなダメージを受けた状態かをチェックできるようになった。
アルツハイマー病では、体内に存在するタンパク質の一部が何らかの原因によって鏡写しのような構造に変化(異性化)し、通常と異なる性質をもってしまったものが、多く体内に存在することがわかっている。
伊藤先生のチームは、異性化したアミノ酸を認識してタンパク質を切断する酵素(人間を含めすべての動物に備わっている酵素)を世界で初めて発見。アルツハイマー病において異性化したタンパク質が疾患の原因物質であり、発見した酵素はそれを除去する働きをもっているかもしれないという仮説を提唱した。
仮説の提唱で原因解明ができたわけではない。わかっているのは、アルツハイマー病など老化と関連した疾患の患者に異性化タンパク質が多いこと、そして特定の酵素によって異性化タンパク質が切断できることだけ。しかし、研究をまとめた論文は、オンラインで世界中に共有される。研究者仲間が増えれば、研究や解析の速度が上がり、薬や治療法が今後劇的に進展する可能性もある。
研究者が論文によって世界にバトンを渡すように、SDGsの課題も世界中の人たちが目の前にある課題に全力で取り組み、発見した解決方法を伝え続けることが大切。誰かが発見した方法や成果が発信されることでネットワークが広がり、知らない誰かの課題解決に貢献できるはずだ。