研究とSDGsのつながりを知る。TEIKYO SDGs Report 帝京大学の先生たちが行っている研究活動内容がどのようにSDGsとつながっているのかをひも解きます。

今回の先生

帝京大学医療技術学部スポーツ医療学科 教授

佐藤真治 先生

どんな先生?

大阪産業大学人間環境学部准教授、教授を経て帝京平成大学の健康メディカル学部教授に。2021年から現職に就任。日本心臓リハビリテーション学会評議員、日本臨床運動療法学会などさまざまな学会で精力的に活動している。

WHAT ARE 17GOALS OF SDGs? SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2030年までに達成すべき17の目標を掲げています。

病気を治す「運動」を処方する。「運動をすると身体のホルモン環境が変化し、病気が治るかもしれない」という思いから、運動療法の領域をさまざまに研究してきた佐藤真治先生。スポーツ医療学科の教育においては、心身ともに健康な人が立場の弱い人たちに手を差し伸べることを大切にしています。これは、SDGsにおける先進国の立ち振る舞いに求められることにも類似。運動のもつ価値を改めて考えさせてくれます。

運動によって心臓病患者が元気に長生きできる研究を

佐藤先生は「運動で身体のホルモン環境が変化することで病気が治るかも」という思いから、運動療法を研究。それまで絶対安静が当たり前だった心臓病患者に運動を取り入れる、心臓リハビリテーションを実施。自律神経の安定や、動脈硬化の改善、再発を抑えることがわかった。

学生の協力で、患者の運動へのモチベーションがアップ

さらに、学生に協力してもらい、高齢の心臓病患者へのスポーツリハビリを行うと、病院で行うよりも患者が元気になることがわかった。孫のような存在の子が話を聞いてくれることで、学生を喜ばせようとリハビリに取り組み、運動のモチベーションの創出につながることを発見した。

地域と学生がつなげる運動の「社会的処方」の可能性

東日本大震災の際に、仮設住宅暮らしで運動不足解消のために「歩く人プロジェクト」を、またコロナ禍では高円寺の街中を歩く「夕焼け散歩」を実施。運動を通して地域住民と医師会、学生がつながり、自分の健康だけでなくお互いや地域を思いやる気持ちが芽生えることで、地域活性が促されることもわかってきた。

ノブレス・オブリージュの精神が根付くヨーロッパ

ヨーロッパでは、財力、権力、社会的地位の保持には責任が伴うことを指す「ノブレス・オブリージュ」というフランス語が息づく。これはラグビーなどのスポーツでも使われる言葉で、身体的機能に恵まれたアスリートは立場の弱い人に優しくすることが大事だと考えられている。

ノブレス・オブリージュから見える運動とSDGsの類似性

佐藤先生の教育方針も「ノブレス・オブリージュ」がテーマ。心身の健全な学生が立場の弱い人に手を差し伸べることは、SDGsで先進国に求められる立ち振る舞いにも類似している。運動を通して健全性をつくることは、SDGsにつながる意識の情勢になると言っても過言ではない。