研究とSDGsのつながりを知る。TEIKYO SDGs Report 帝京大学の先生たちが行っている研究活動内容がどのようにSDGsとつながっているのかをひも解きます。

私の研究活動はSDGs17の目標の「8.9.11.17」に関連します。Midori Goso
今回の先生

帝京大学経済学部地域経済学科 准教授

五艘みどり 先生

どんな先生?

立教大学社会学部観光学科卒業後、旅行会社やシンクタンク、コンサルなどを経て大学院へ。ルーラル・ツーリズムの研究後、観光や地域活性のプロとして国内外のさまざまなケースにかかわる。2015年より帝京大学経済学部に勤務し、2018年より准教授。

WHAT ARE 17GOALS OF SDGs? SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2030年までに達成すべき17の目標を掲げています。

地域の持続可能性を高めるルーラル・ツーリズム 「ルーラル」とは農林漁業地域を指す言葉で、歴史や文化といった要素が含まれ、「ルーラル・ツーリズム」は、地域そのものを体験する観光のことを指します。実践には、地域の人びとが自分たちの地域を再認識し、新しい価値を創出することが求められます。「ルーラル・ツーリズム」の発展は、持続可能な地域資源の活用や、新しい成長へシフトするきっかけになると期待されています。

ヨーロッパはルーラル・ツーリズム先進国

ヨーロッパでは、地域に蓄積された人やもの、環境、文化など総合的なリソースを活用してエリアを活性化させる観光「ルーラル・ツーリズム」が進んでいる。農場や農村で休暇を過ごすアグリツーリズムやグリーンツーリズムがその一例。

ルーラル・ツーリズムが盛んなイタリア南チロル

イタリア北部にある南チロル。オーストリアとイタリアの係争地であり、自分たちの地域を自分たちで活性化すべきという使命感から自治権を勝ち取った地域のため、地域資源の活用やブランディングが盛んで、ルーラル・ツーリズム発展の土台となっている。

日本でも地域の価値を高める取り組みが必要

日本でも国の補助金などに頼らない地域価値を高める取り組みの必要性が高まっている。五艘先生がアドバイザーとしてかかわる京都府の和束町は、名産である宇治茶など地域の強みを生かした取り組みを行い、4万人だった観光客が20万人超に増加した。

地域の自立や持続可能性をサポート

和束町ではさまざまなセミナーを行うことで、食品加工を手掛ける農家女性たちのスモールビジネスが根付いた。ルーラル・ツーリズムには、地域に暮らす人の自立と持続可能性を促すサポートが不可欠。五艘先生は、京都だけでなく各地域の推進機構設立支援も進めている。

ルーラル・ツーリズムの発展によるSDGs的な価値

ルーラル・ツーリズムを通して考えるのは、「観光」ではなく「地域」。地域には、人びとの暮らしはもちろん、地球環境から歴史まで、さまざまなファクトに彩られたSDGsの縮図がある。地域の力を高めるルーラル・ツーリズムのノウハウは、世界中のあらゆる地域に応用が効き、地域の持続可能性を高める新しい価値をもたらすことが期待される。