2022年夏、人力飛行機製作に励むすべての学生が目標とする「鳥人間コンテスト」に、
宇都宮キャンパスを拠点とする人力飛行機製作クラブ「Sky Project」が出場しました。
彼らが製作した機体がどのような記録を残し、彼らはどんな経験を得たのか。
大会前日から当日に至るまでの輝かしい2日間をレポートします。
自作の人力飛行機による飛行距離、および飛行時間を競う大会。1977年にスタートし、2022年で44回目を迎えた。毎年7〜8月ごろに大会が行われ、その後テレビ放送されている。
宇都宮キャンパスを拠点とし、人の力を動力として飛ぶプロペラ飛行機を設計・製作し、飛翔させることを目標とするクラブ。2013年に出場した「鳥人間コンテスト」では、飛行距離568.82mの記録を残している。
「空を飛ぶ」。その夢を叶えたい人が、真夏の琵琶湖に集結する「鳥人間コンテスト」。7月23日から24日にかけて行われた2日間の闘いに、宇都宮キャンパスの人力飛行機クラブ「Sky Project」が出場した。9年ぶりの参戦となった今回のスローガンは「復活」だ。出場したのは【人力プロペラ機部門】。機体組み立てのため、チームは大会前日から会場入りした。
「空を飛ぶ」。その夢を叶えたい人が、真夏の琵琶湖に集結する「鳥人間コンテスト」。7月23日から24日にかけて行われた2日間の闘いに、宇都宮キャンパスの人力飛行機クラブ「Sky Project」が出場した。9年ぶりの参戦となった今回のスローガンは「復活」だ。出場したのは【人力プロペラ機部門】。機体組み立てのため、チームは大会前日から会場入りした。
1日目は、朝8時から翌日のフライトに向けた準備が始まった。部長兼パイロットを務める西山涼太さんに心境を聞いた。「全チームのパイロットと顔を合わせ、緊張感が一気に高まりました。みんなの努力を実らせる立場として気合が入ります」
フェアリング班や翼班など、グループに分かれて個々の部員が作業を進めていく。統括するのは設計主任を務めるマレーシアからの留学生、スハイブさんだ。「機体の軽量化に取り組みましたが、第一目標はとにかく『飛べること』でした。計画よりも進行が遅れ、キャンパスを出発する直前まで突貫作業が続きました」。途中の設計変更やテストフライト不足など、不安を抱えたままコンテストを迎えた。
最大の関門となったのが、13時から始まる機体審査だ。審査員から指摘を受けた場合は、17時までに対応しなければならない。張り詰めたムードの中でチェックが行われ、受けた指摘は機体の突起物を削る安全対策に留まった。様子を見守った1年生部員にも笑顔がこぼれる。「今年は翼を担当しましたが、来年は機体の設計に挑戦したくなりました」
フライト当日となった2日目。機体駐留域では、夜明け前から全チームが機体の組み上げに着手していた。
フライト当日となった2日目。機体駐留域では、夜明け前から全チームが機体の組み上げに着手していた。
部員の作業を見守る顧問の米田洋教授は自身も学生時代に滑空機製作を手掛けていただけに、的確な助言を送る。「組み上げで最も注意が必要なのは、尾翼の取り付け。平坦なグラウンドで反復練習を行いましたが、足場の悪い湖畔での作業とは大きく勝手が違います」
午前4時30分。苦労の末に機体は組み上がり、飛び立つプラットホームへの移動が始まった。一方で、パイロットの西山さんはウォーミングアップに余念がない。目標に定めた5㎞の飛行距離に到達するには、ペダルを12分間(時速40㎞ペース)漕ぎ続ける必要がある。西山さんの減量と筋力強化を支えたのは、医療技術学部柔道整復学科の学生トレーナーチームだ。「食事管理、筋力トレーニング、有酸素性能力向上という観点からプログラムを考案しました」
午前6時。いよいよフライトが開始され、2番手で飛ぶSky Projectがプラットホームで配置につく。そして、部員たちが機体を押し出した。
午前6時。いよいよフライトが開始され、2番手で飛ぶSky Projectがプラットホームで配置につく。そして、部員たちが機体を押し出した。
「3、2、1、GO!」
美しく離陸を決め、総重量104㎏の機体は高度を保ちながら琵琶湖上空を進んでいく。並走するモーターボートに乗るスハイブさんは、機体に向けて無線で指示を出す。「もう少し右!」「パワーを上げて!」。西山さんは、みんなの想いを乗せてペダルを漕ぎ続けた。
アナウンスされた飛行距離は1270.32m。目標には届かなかったが、過去の最長飛行記録568.82mを大幅に更新した。強豪チームが上位を占める中、【人力プロペラ機部門】6位に食い込んだことは「復活」を遂げた証しといえるだろう。
機体が水面から引き上げられ、帰還した西山さんは拍手を浴びながらチーム総出で迎えられた。「目標達成のために、もっと自分を追い込めたはず。主体的に行動することの大切さを痛感しました」
スハイブさんは、「自分の考えを伝え、相手を理解することが団結力を生むと実感しました」と話す。
今回の参戦で得たノウハウや経験は、次の世代に受け継がれる。次の夏、進化したSky Projectと出あえることに期待は膨らむばかりだ。
パイロット
理工学部 航空宇宙工学科 3年
東住吉高等学校(大阪府)出身
チームには感謝してもしきれません。部長として至らない点も多いなかで、団結して個々ができることをやり遂げてくれました。飛行記録も更新でき、「復活」というスローガンは達成できたと思います。
設計主任
理工学部 航空宇宙工学科 3年
目標の飛行距離には届きませんでしたが、わずかな調整や改善で到達できると確信しました。今後は設計面のサポート役として、新チームがつくる機体の実現に貢献できればと考えています。
顧問
理工学部
航空宇宙工学科
実績の少ないチームが、輝かしい実績を持つ強豪チームに食い込んだことは評価に値すると思います。スケジュール管理や組織運営の面など、参戦を通して得た教訓を来年に生かして欲しいと願っています。