2015年度海外学校教育視察
2015年度海外学校教育視察

2015年9月6日~12日、教職研究科の教員・学生8人が参加し、オランダにて、学校教育視察を実施しました。初等教育学校、中等教育学校、特別支援学校7校を訪問し、授業参観や先生方との意見交換などを実施しました。諸外国の教育制度や教育方法、教育課題の改善に向けた取組等を直接的に学ぶことは、これからの日本の教育のあり方を考えるうえでもとても大切です。2016年度より、海外学校教育視察は、正式な授業科目(高度化専門科目)となり、9月には、イギリスのロンドンとダラムを訪問する予定です。

実施内容

教職研究科では、2015年9月6日(日)~12日(土)に、教員・学生8人がオランダ学校教育視察を実施しました。
滞在した5日間で、7つのエクセレント・スクールを訪問し、教育活動の様子や教育方法等について学びました。また、訪問先の学校では、授業参観のほか、先生方との意見交換、子供たちとの交流、さらには授業をさせていただく機会も得ました。

【視察先】オランダ
【期間】2015年9月6日~9月12日

■訪問学校等一覧

月日 時間 訪問先等
9月6日(日) 10:30 成田空港発
15:00 アムステルダム・スキポール国際空港 着
18:00~ アムステルダム市内見学
9月7日(月) 9:00 ~15:30 Zonnebloemschool特別支援学校訪問(3校舎を視察)
9月8日(火) 9:00~12:00 Van Ostade School初等教育学校訪問
12:30~15:00 College St. Paul中等教育学校訪問
16:00~18:00 国立図書館、マウリッツハイス美術館見学
9月9日(水) 9:00~15:00 't Vogelnest初等教育学校訪問
17:00~ 聖バーフォ教会(ハーレム)ほか見学
9月10日(木) 9:00~11:30 Dalton Rijnsweerd初等教育学校訪問
13:00~15:00 US Gymnasium中等教育学校訪問
16:00~ ユトレヒト市内およびドム教会ほか見学
9月11日(金) 9:00~11:00 ST.Ignatius Gymnasium中等教育学校訪問
14:40 アムステルダム・スキポール空港発
9月12日(土) 8:30 成田空港着 解散

【2日目】 9月7日(月) Zonnebloemschool特別支援学校を訪問

児童生徒数205人の特別支援学校で、子供たちの自立をとても大切にしている学校でした。日本語では「ひまわり特別支援学校」の名前にふさわしく、明るく温かみのある校舎は、子供たちがのびのびと心豊かに学校生活を送るために最適の環境だと感じました。
4~7歳までの教室は、子供たちが学校に来たくなるような工夫が施されています。教室には、ダイニングキッチンやリビングを模したコーナーや、あたかも秘密基地のような子供だけが入れる空間が確保されていました。作業学習調理・サービスグループの生徒がおいしいサンドウィッチやスープを作り、きれいにテーブルセッティングしてくれました。「できるだけ手を貸さない」「繰り返し指導」という指導方針が、子供たちの自立的な活動や成長を支えているように感じました。

4~7歳までの教室の一画
4~7歳までの教室の一画
ランチを用意してくれた生徒たちとの交流
ランチを用意してくれた生徒たちとの交流

【3日目】9月8日(火) Van Ostade School 初等教育学校を訪問

5年生(日本では3年生)の歴史の授業と7年生のワールドオリエンテーション(=総合的な学習に近い)の授業を参観しました。7年生の授業では、先生が国名を挙げ、その国がヨーロッパに属しているかいないかということを○×クイズ形式で楽しみながら学んでいました。この学校には国外から移住してきた家庭の子供も多く、どの授業でも「オランダ語を習得すること」を第一優先にしています。それは、将来この国で生計を立てていくために、オランダ語を習得 し、ユーロ圏で生きる素地を身に付けることがとても大切であるからとのことでした。全教室に電子黒板が配備され、カリキュラムに沿った教科書や教材を使用 しながら、グループ活動を中心に授業が進められていました。

ワールドオリエンテーション(7年生)
ワールドオリエンテーション(7年生)
5年生のクラスで使用していた歴史学習のテキスト
5年生のクラスで使用していた歴史学習のテキスト

【3日目】9月8日(火) College St.Paul中等教育学校を訪問

10年前まで特別支援学校だったノウハウを生かし、現在は「中間的な学力を持ち、特別な支援を必要とする子供たち」のサポートをする学校へと変貌を遂げ、エクセレントスクールに認定された学校です。
子供の特性を共通理解するために、「子供の障がい特性」が先生の机の横に一覧表で掲示されていたことに私たちはびっくりしました。自分の発達障害についてある程度理解できている生徒たちが、級友の特性についても互いに理解しあい、成長を認め合いながら生活していくこと を大切にしているとのことでした。そこには、スモールステップでの学びがあり、生徒の数だけ異なる支援が展開されていました。

校舎をバックに記念撮影
校舎をバックに記念撮影
校長先生・教頭先生から説明を受ける
校長先生・教頭先生から説明を受ける

【4日目】9月9日(水) ‘t Vogelnest 初等教育学校を訪問

坂本教諭が5年生(日本の3年生)の教室で算数の授業を行いました。積極的に手を挙げ発言しようとする子供たちの姿は日本もオランダも同じです。
その後、車に分乗し(子供たちは自転車でした)、近郊にある城砦に向かい、8年生の歴史学習(ワールドオリエンテーション)に参加させていただきました。体験すること、考え、ディスカッションすることを、この学校はとても大切にしています。
午後は先生方とランチを食べながら、学校組織(スクールボード)や教育内容についての説明を受け、こちらも日本の教育制度について説明をし、意見交換を行いました。オランダでは何校かでスクールボードを組織し、人的配置や研修などを行っている点も特徴的でした。

坂本教諭が英語で算数の授業にチャレンジ
坂本教諭が英語で算数の授業にチャレンジ
中沢教諭が日本の教育制度を英語でプレゼン
中沢教諭が日本の教育制度を英語でプレゼン

【5日目】 9月10日(木) Dalton Rijnsweerd 初等教育学校を訪問

Dalton Rijnsweerdの基本理念は、「自由・独立・コラボレーション」です。教室では、児童一人一人が自分の学習の計画を立てて、それに合わせて学習を進めていました。
羽賀教諭が6年生(日本の4年生)の子供たちに日本の漢字を紹介しました。1から10までを、アラビア数字、ローマ数字、漢字で板書し、対応しながら理解できるようにしました。子供たちはすぐにノートに写し始め、漢字に大変興味をもった様子が感じられました。
この学校を参観して改めて感じたのは、学校の主役は子供たちであるということです。学びの中心に児童一人一人がいて、教師はその支援者という役割です。

校内の至るところにある学びの空間
校内の至るところにある学びの空間
羽賀教諭が日本の漢字などを英語で紹介
羽賀教諭が日本の漢字などを英語で紹介

【5日目】9月10日(木) US Gymnasium中等教育学校を訪問

中世ヨーロッパを彷彿とさせるデザインの校舎外観とその教育内容が高次元で融合されているモダンな空間に驚きを隠せない、先進的な学校でした!
実際に、生徒とディスカッションをする時間を与えられ、日本の教育システムの説明やそれに対する意見を交わすことを通して、オランダと日本の違いや、今までの自分の教育観について再確認する機会となりました。疑問を表明したり考えを述べたりするなど、みんなでディスカッションしようとする姿勢にもとても驚きました。
一番感じたのは、オランダの子供たちが自国の教育文化にプライドをもっているということです。日本の学校もそうありたい!

校舎内の様子
校舎内の様子
生徒たちとのディスカッション
生徒たちとのディスカッション

【6日目】9月11日(金) ST.Ignatius Gymnasium中等教育学校を訪問

この学校では、将来に大学へ進み研究文献を読む教養としてのギリシャ語・ラテン語が必修科目です。校内はギリシャ彫刻のレプリカや古代文字などをデザインした窓があり、アカデミックな雰囲気でした。語学教育としては他にも英語・ドイツ語・フランス語が必修科目で、高学年になるとイタリア語・スペイン語・中国語を選択できます。
また、生徒が主体的に学ぶさまざまな実践が工夫されていました。写真の模造紙は、eduScrumです。 身につけるべき学習内容が、付箋で幾つも貼り付けられ(ALL ITEMS;写真の模造紙の左上)、生徒はそれらの付箋に書いてある課題に取り組み (BUSY)、課題を仕上げられたら付箋は一番右の欄(DONE)に移動できます。

思考力の育成について先生たちと協議
思考力の育成について先生たちと協議
生徒の学びを支えるeduScrum
生徒の学びを支えるeduScrum