教員による実学教育
教員による実学教育

個性豊かな教員陣の指導により理解を深め、自らのテーマを追究します

文学部の教員陣は多士済済。それぞれの専門分野で優れた実績を上げている教員が揃い、その専門性を実学教育に生かしています。学生は個性的な教員の指導を受け、疑問や意見をぶつけ合いながら理解を深め、やがて自らの学びのテーマを見つけ、追究していきます。

講読

講読

「講読」という授業の性質上、授業の進め方としては、講読するテキストに関して、まずごまかしのない正確な読解の力をつけてもらうことを心がけています。読解力の養成は、文字を読むことにとどまらず、論理的に考える力全般を鍛えることにつながり、その力は研究においても社会人としても、基礎になるものだからです。もうひとつは、人の話に注意を集中させる訓練です。この授業では、テキストの内容に関する質問を頻繁に行っています。しかし、誰かの名前を呼んでから質問はせず、常に全員に対して問いかけを行い、その後、予告なしに特定の誰かを指名します。したがって学生全員が、質問のときにテキストと質問とに集中していなくてはなりません。緊張が走ることになりますが、緊張なくして集中力は上がりません。授業内容としては、創発主義という、生物学や哲学、物理学など、古くから議論されてきた主題について書かれた論文を読解しています。

日本文化学科

冲永 荘八教授

冲永 荘八教授 OKINAGA Shohachi
大学院では英語圏や日本の宗教哲学を学んでいた。この10年ほど、大学院のころ身につけた方法論を応用して、心の哲学や脳科学の問題にも取り組んでいる。この分野は近年、自然主義的傾向が支配的であるが、私は自然主義の根拠となる存在論的な次元から、これらの問題を考え直すことが大事だと考えている。

書写

書写

書写科目は、小学校、中学国語、高校書道、それぞれの教員免許取得をめざす学生が主に受講している科目です。Ⅰでは「仮名」、Ⅱでは「楷書」、Ⅲでは「行書」と「漢字仮名交じり」、Ⅳでは「生活に生かすさまざまな書式」を硬・毛筆で学ぶといったように、段階的かつ体系的に学べるようカリキュラムが組まれています。私は、本学に着任するまで、中高一貫教育校において書写・書道を担当していました。また大学において書写書道教育を担当するほか、民間書道団体主催の書道講座講師を務める等、学校教育と生涯教育の両面から書写・書道に関わってきました。以上の経験を生かし、学校教育・生涯教育・芸術文化活動の3つの視点から、21世紀の書写書道教育を担う人材を育成したいと考えています。生徒の特性や地域・学校等により異なる書写書道教育の実態を幅広く理解し、さまざまな水準に応じて柔軟に対応できる視野を持った指導者の育成をめざしています。

日本文化学科

福井 淳哉准教授

福井 淳哉准教授 FUKUI Junya
新潟大学教育人間科学部芸術環境創造課程書表現コースを卒業後、大東文化大学大学院文学研究科書道学専攻博士課程を修了(博士(書道学))。2010年、本学に着任。読売書法会理事、書道香瓔会理事を務めるなど書作家としても活動している。板橋区民文化奨励賞、第1回大東文化大学青山杉雨賞などを受賞。著書に『和様の美―かな古筆名跡便覧』(淡交社2013)などがある。

地理学野外実習

地理学野外実習

地理学コースの科目である地理学野外実習では、教員による引率のもと年に2回、学生が2泊3日の日程で現地調査を行います。これまで愛知県豊田市・長野県諏訪地域などを訪問し、そこで地形図の判読、自然地形やまちなみの観察調査、図書館での資料収集、博物館施設の見学などを実施しています。また、現地の方から地域の自然・歴史・文化・産業・まちづくり・課題などをテーマにお話をうかがいます。これらの調査を通して得たさまざまな情報を手掛かりに、現地を「より良い社会にするための方法」についても検討しました。このように地理学野外実習は調査能力だけではなく、地域社会を創造する能力を培うことができる極めて実践的な科目といえます。

史学科

池 周一郎教授

渡邊 瑛季講師 EIKI Watanabe
筑波大学大学院生命環境科学研究科単位取得満期退学。山梨県出身。宇都宮市役所市政研究センター研究員、栃木県内の大学講師を経て、2023年に帝京大学着任。専門は人文地理学、観光地理学、地誌学。研究テーマは、日本の農村観光地域の発展・変容とその要因、スポーツ盛行地域における競技文化・競技振興など。

福生市「まちづくり総合活性化研究~人口シミュレーションプロジェクト~」

福生市「まちづくり総合活性化研究~人口シミュレーションプロジェクト~」

東京都福生市は、マスメディアによって人口減少が報じられ、将来の人口減少に大きな危機感を持つようになりました。そこで産学官の連携を謳う「ネットワーク多摩」(帝京大学も加盟校のひとつ)が、福生市の人口減少に対する政策立案を援助することになりました。社会学科池周一郎教授は、福生市職員に対し、将来人口の計算方法(人口投影という方法)の考え方と限界を1年間4回にわたって授業を実施。人口減少には、出生力低下と移動による人口流出という2要因があります。まず、福生市の人口のどの部分(性と年齢による区分)の流出が著しいかをデータから分析しました。現在の趨勢で推移すると、現在5万8,000人程度の人口が2039年には4万4,000人程度へ減少します。低出生率の日本では、人口増加は当面期待できません。ただし、政策により低下をよりマイルドなものにすることは実現可能です。授業では、20代、30代の女性の人口流出をくい止めることで、2039年に5万2000人程度を維持できる可能性を示しました。

社会学科

池 周一郎教授

池 周一郎教授 IKE Shuichirou
早稲田大学文学研究科博士課程単位取得済み退学。1992年より帝京大学勤務。現在本学教授。社会学博士(東京大学)。八王子キャンパス情報処理センター長。数理社会学、人口学分野、社会調査法が専門。出生力低下に関する数理的な分析を主な研究テーマとしている。

企業やNPOで実習に参加する「ソーシャルビジネス実習」

企業やNPOで実習に参加する「ソーシャルビジネス実習」

「ソーシャルビジネス実習基礎(前期)」「ソーシャルビジネス実習(後期)」は、帝京大学のある多摩地域で活躍している、社会的企業(ビジネスの手法を用いて社会のさまざまな課題解決に取り組む企業)やNPO法人の皆様と協力して設定された授業です。
前期は、企業・NPOの皆様を講師として迎え、身近に広がるさまざまな社会・仕事・働き方の形を考えます。それを踏まえて学生は、各団体での実習に参加します。
実習内容は、日常的な実務にとどまらず、プロジェクトの企画・運営・実施を求められる場合もあります。そして後期は、学びの集大成としてプレゼンテーションをまとめ、地域や学内に向けて発表する機会を企画します。このように本授業では、「見る・聴く・体験する・議論する・調べる・企画する・発表する」といった力を、理論と実践を通して身につけることで、卒後、地域社会で発揮できる「就業力」を身につけることをめざしています。

社会学科

李 永淑准教授

李 永淑准教授 LEE Youngsook
大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得満期退学後、同大にて博士号(人間科学)取得。大学ボランティアセンターボランティア・コーディネーター、NPO(フードバンク)特任研究員などを経て、2013年4月より現職。専門はボランティア・NPO論。