診療放射線学科
  • 板橋キャンパス
医療技術学部 診療放射線学科

臨床現場の高度な要請に対応できる
放射線技師のスペシャリストを養成

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学年担当教員制による綿密な指導や、多様な実習により実践力を高めながら、知識や技術を身につけていくのが本学の診療放射線学科です。充実した学習環境や隣接する医学部附属病院との連携、質の高い教員陣による高度な医療技術教育がそれらを可能にしています。また、放射線の知識だけでなく、高度で複雑な検査機器や装置を扱うため、めまぐるしく変わる医療現場でも活躍し、社会貢献できる診療放射線技師を養成します。

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綿密な指導を可能にする学年担当制

「綿密な指導を可能にする学年担当制」
本学科では学年担当制を採用しています。1学年を少人数のクラスごとに分け、そこに担当教員を配置することで、意思の疎通を図りながらきめ細かい指導を実施。日々の授業の中に、高い倫理観、知識、技術、素養を身につけたより豊かな人間性の育成を目的としています。

海外での放射線技術学研修

「海外での放射線技術学研修」
本学科では、学生と教員が参加する海外研修を実施しています。研修先のヴォー保健科学大学(HESAV・スイス連邦国ヴォー州)にて、現地の医師や診療放射線技師の指導のもと、日本では経験の機会が少ない実践的な実習を行います。

スイス放射線技術学研修

カリキュラム

1年次では専門科目の基礎となる物理や化学実験に加え、医療人としてのコミュニケーション能力を養います。その上で、専門科目への導入教育を行い、2年次へと備えます。2年次では講義や実験・実習を通して機器の操作や撮影技術を身につけていきます。3年次から始まる医学部附属病院などで行われる臨床実習によって、実際の現場を経験し、医療従事者としての意識を高めていきます。その後最終学年の集大成としてさらなる臨床実習に取り組み、これまでの学びを集約します。医療人としての自覚を高め、総合的な演習と実習で実力を養成します。

シラバス

診療放射線学科のシラバス

履修要項

視能矯正学科、看護学科、診療放射線学科、臨床検査学科、スポーツ医療学科救急救命士コースの履修要項

授業紹介

基礎分野

放射線物理学Ⅰ
この授業では、まず原子の基本構造を学習し、続いてX線の発生およびX線の物質との相互作用を中心に学習します。これらの基礎知識の学習を通して、「放射線物理学Ⅱ」「診療画像機器学」「放射線管理学」などの専門科目を学ぶ際の基礎力の獲得をめざします。

医用画像情報学Ⅱ(デジタル画像)
この授業では、近年の急速的なフィルムレス化と、20世紀末に米国FDA(食品衛生局)により認可されたCAD(コンピュ-タ支援診断)の主役となる「デジタル画像処理」について学びます。デジタル画像処理は、デジタル信号処理(DSP)分野の一部であるので、DSPの基礎的事項および高速フーリエ変換(FFT)について理解し、標本化と量子化、数学モデル、画像強調などを学び、デジタル画像処理の臨床応用についての基礎知識を習得し、その後、3次元医用画像、CADの基礎について学びます。これらの知識を理解し、将来の医用画像部門で働くスペシャリストとしての素養を高めることをめざします。

放射線治療技術学Ⅰ
現在の高齢化社会においてがんはすでに身近な問題となる一方、放射線治療技術の進歩も目を見張るものがあります。放射線治療技術学とは、社会的には放射線のリスクが叫ばれる中、あえて大量の放射線を人体に照射する多くの根拠を学ぶ学問となります。その意味で、放射線治療について最も重要な事は何かといえば、正常組織を極力守りつつがん細胞に適切は放射線量を吸収させることといっても良いでしょう。このことを具体的に理解するために、線量分布の解釈をはじめ、放射線の種類、エネルギーの変化による治療部位との関係性、また治療機器や生物学的な知識を含めた総合的な理解をもとに、さまざまながんに対する適切な放射線治療の理解へと繋げていくことをめざします。放射線を知り、そしてがんを知ったうえで、患者さんの心情やQOLの重要性を把握して対処できる人材を育てることをめざします。

実験・実習分野

医用工学実験
医用工学の内容はほとんどが電気電子工学です。抵抗器やコンデンサーやコイルなどをつなぎ、そこに信号を流してどんな波形になるかを観察します。その結果がこれまで学んできた理論ときっちり合うかどうか、合わないならなぜか、ということを考えるのがこの実験の目的です。5人一組で準備からレポートまでこなします。以前の実験でははんだごてで部品をつないだものですが、最近ではブレッドボードという優れもののおかげで部品接続は極めて簡単になりました。また、マルチメータ(電圧や容量が測れる)などの計測機器、ファンクションジェネレータやトランジスタといった数百に及ぶ部品が充実した設備があります。指導体制も主任の教授以外に、TA(teaching assistant)や補助の教員が4、5名体制で実験をフォローしています。

基礎診療画像技術学実習
基礎診療画像技術学実習では、X線の特性や性質を学ぶ基礎実験と、X線撮影装置の使用方法や動作原理、X線撮影に必要な各種条件を体験的に学習し、病院で実習を行う臨床実習に対応できうる撮影技術の基礎を学びます。同時に、各種検査の画像診断に結びつく読影の基礎や医療従事者としての心構え、患者接遇の方法、感染症対策などの実践的技法や知識を学びます。

診療画像技術学実習Ⅰ
診療画像技術学実習Ⅰでは特殊撮影装置を使用した撮影法の実習を行います。FPDを使用した消化管造影検査、CR撮影、CT検査、MRI検査、マンモグラフィー検査では専用のファントム(模型)や各種測定用具を撮影し、装置の原理や使用法、性能評価の方法を学びます。特に放射線被ばくのない無散瞳眼底撮影、超音波撮影では学生が互いに検者、被検者に分かれて実際に撮影を行い、患者接遇を含め、より実践的な技術や知識の習得をめざします。なお、病院実習を間近に控えた前期にOSCE(Objective Structured Clinical Examination客観的臨床能力試験)を実施します。

放射線管理学実験Ⅱ
放射線や放射性物質を安全に取り扱うためには、放射線発生装置や放射性同位元素について知識が必要なのは当然ですが、「放射線管理」の観点からは、放射線による被ばくの線量限度を知り過剰な被ばくをしないために、環境中の放射性物質濃度を測定して安全を確保することも重要です。本授業では、さまざまな環境中の放射性物質濃度の測定法を習得し、合わせて放射線測定や管理の難しさと大切さを体感することを目的とします。

臨床実習

実習スケジュール

実習・演習スケジュール

3、4年次より医学部附属病院をはじめとした関東一円の医療機関での臨床実習が始まります。講義や実験で身につけた知識を実際の現場で体験的に学習することで、知識も技術も確実に身につけていきます。この専門性の高い臨床実習を通して総合的な演習と試験で実力を養成します。また、スイスへ短期留学も可能です(条件あり)。

臨床実習科目

臨床実習1

診療画像技術学実習Ⅱ撮影編
病院で行う初めての実習です。主に、X線単純撮影、X線透視造影検査(消化管、血管)、X線CT検査、MRI検査、乳房X線撮影、骨密度検査、超音波検査について学びます。病院実習は、大学病院、国公立病院、民間総合病院などで行われ、実際の診療業務としての診療放射線技師の役割りやチーム医療の必然性、患者接遇、X線撮影技術、画像検査技術、さらには社会人のマナーを体得します。病院実習前には、診療放射線技師教員からの綿密なガイダンスを行い、病院実習後には、臨床実習報告会により学生が臨床実習で習得した成果を発表します。診療放射線学科では、病院実習を通して学生が教科書や学内講義で学ぶことができない実学を習得し、診療放射線技師への志を高めて行くことを期待しています。

診療画像技術学実習Ⅱ(病院実習)OSCE編
臨床実習は3年次の後半より行われますが、実際の患者さんと対峙する最初の経験となります。見学も含め臨床実習担当者の指導・指示のもとの行動となりますが、学内で行うX線撮影実習はファントム(模型)を用いて行うため、患者対応を含めた総合的な技術が求められます。このギャップを少しでも埋めるべく実践しているのが、OSCE(Objective Structured Clinical Examination、客観的臨床能力試験)です。具体的な内容は、患者役を定め、一定時間内に指示された撮影を、患者接遇・誘導も含めて最初から最後まで一連の実務をこなし(ただしX線は出さない)、それを試験として教員が評価するものです。実際に人に指示することに慣れるだけでなく、試験に至るまでに真剣に取り組むことで、心構えができ、知識が膨らみ、さらには教員より問題点を指摘されることで臨床実習前に各自の欠点を改善することをめざします。

核医学・放射線治療学(臨床実習)
核医学検査と放射線治療分野は、共に大規模な設備や装置を必要とするため、学内の講義で学んだ専門知識を前提に、外部医療機関の臨床現場で実習を行います。核医学検査は、非密封放射性同位元素(RI)を放射性医薬品として体内に投与し、体外に放出されるガンマ線を検出して疾患の状態を診断するため、各検査技術とRIの特性や扱い方だけでなく、放射線管理についても学びます。一方、近年がん治療として注目されている放射線治療は、診断用X線と異なり、100万ボルト以上の高電圧による高エネルギー放射線を利用します。従って、病巣への正確な照射と線量計測、品質保証などを確実に行うことが最重要となります。また進歩の速い分野であり、新しい照射手技なども学ぶ場にもなります。そして両分野共に、すでに疾患を持った患者さんが主な受診者となるので、技術や検査法だけでなく、臨床でしか体験できない患者接遇も学びの中で身につけていきます。

おもな実習先一覧

帝京大学医学部附属病院、帝京大学医学部附属溝口病院、東京慈恵会医科大学附属病院、日本医科大学付属病院、昭和大学病院、東京女子医科大学病院、慶應義塾大学病院、虎の門病院、JCHO東京新宿メディカルセンター、聖路加国際病院、日本大学医学部附属板橋病院、聖マリアンナ医科大学病院、関東労災病院、国立がん研究センター東病院 ほか

(2023年4月現在)

成績評価と単位認定

成績評価

進級・卒業認定などの基準

年次別進級条件と卒業・修了要件は、履修要項に明示し、年度はじめのガイダンスで学生に周知・徹底しています。年度末に進級判定および卒業査定判定会議を開催し、査定資料をもとに進級・卒業査定が厳格に運用されており、履修要項に明示した進級・卒業要件を満たさない場合、原級留置きとなります。
すべての科目の評価基準が毎年学期はじめに配布される履修要項に明示されます。評価尺度は科目によって異なりますが、一般的には、定期試験の成績、レポートなど提出物の成績、出席状況、学習態度などを按分して総合計で評価しています。

成績などの表示および成績評価基準

区分 評価 GPA 成績評価基準 評価内容
合格 S 4.0 90点以上 特に優れた成績を表します。
A 3.0 80点台 優れた成績を表します。
B 2.0 70点台 妥当と認められる成績を表します。
C 1.0 60点台 合格と認められる最低限の成績を表します。
不合格 D 0.0 60点未満 合格と認められる最低限の成績に達していない(授業への出席日数不足および試験の未受験などを含む)
  • GP:GPAの算出に用いられるポイント

GPA制度について

GPA(Grade Point Average)制度とは、学修の成果を客観的な数値で評価するものです。この制度は、米欧の大学で採用している成績評価制度に概ね準拠しています。

GPAの算出方法

GPAの算出方法

単位認定

卒業するために必要な最低科目数または単位数

基礎分野科目においては必修科目16単位および選択科目4単位以上、合計20単位以上、専門基礎分野科目においては必修科目34単位、専門分野科目においては必修科目70単位、総合計124単位以上修得しなければなりません。