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2024年01月17日

宇都宮キャンパス理工学部古賀教授が明治との共同研究でカカオ未活用部分に保湿成分「カカオセラミド」があることを発見しました

2024年1月10日(水)、株式会社 明治のカカオ“美容”新素材発表会にて、理工学部バイオサイエンス学科教授 古賀仁一郎が、同社との共同研究で、チョコレートの原材料であるカカオの未活用部分に着目し、カカオ由来の保湿成分「カカオセラミド」が極めて多く含まれているという世界初の発見を発表しました。

セラミドは肌の表皮の角質層に含まれる保湿因子の一つで、コラーゲンやヒアルロン酸などと同様に保湿成分として注目されている素材です。セラミドは食品用と化粧品用に分類され、植物から抽出される食品用の「グルコシルセラミド」は、健康食品の素材として使用されるなどの研究開発が進んでいます。一方、スキンケア成分として使用される天然由来の「ヒト型遊離セラミド」は、植物の中でも含有量が少なく希少とされていました。
植物から抽出されるセラミドは、分離が難しい異性体が含まれていることや、その標準品がないことにより、構成を知るための厳密な定量分析が難しいとされていました。そこで、古賀教授の研究室は本学理工学部先端機器分析センター技術職員 湯本絵美と共にさまざまな検討を行い、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(LC-ESI-MS/MS)を用いた新しい植物セラミドの分析定量方法を確立しました(Yumoto, E. et al. (2021) Biosci. Biotech. Biochem. 85, 205-210)。
古賀教授らは、この最新の分析技術を用い、カカオハスク(種皮)という従来カカオの中でも未活用だった部分に、他の植物よりはるかに多量のセラミドが含まれていることを発見しました。さらに、一般的な植物由来のセラミドの多くが「グルコシルセラミド」であることに対し、カカオハスクから抽出されたカカオセラミドの中には「ヒト型遊離セラミド」が極めて多く含まれていることを突き止め、化粧品用途への可能性を見出しました。

カカオセラミドは、今まで知られている植物よりもセラミドの含有量が極めて高いことから、抽出・製造に関する大幅なコストダウンが期待でき、さまざまな食品や化粧品に利用されることが見込まれます。あわせて、カカオの未活用だった部分を有効活用することで、サステナブルな美容素材としてカカオ産地も社会も豊かなになる循環の創出が期待されます。
これからも帝京大学は、さまざま研究活動を通しサステナブルな社会への貢献、ウェルビーイング化を進めてまいります。

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