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2023年10月25日

山田准教授らの研究グループが、病原真菌の新しい薬剤耐性化メカニズムの一端を明らかにしました

2023年10月12日(木)、帝京大学医真菌研究センター准教授 山田剛らの日本・スイス国際共同研究グループが、代表的な真菌症治療薬であるアゾール系抗真菌薬(アゾール)に耐性を持つ新種の白癬菌(水虫)で見つかった「病原真菌の新規薬剤耐性化メカニズム」について、薬剤耐性化の原因としてゲノム上に形成されているCYP51B遺伝子のタンデムリピート構造に2種類の様式があることを明らかにしました。

昨年、山田准教授、スイス・ローザンヌ大学生物学・医学部および同大学病院名誉教授 Michel Monod氏、スイスバイオインフォマティクス研究所博士 Marc Feuermann氏らで構成される日本・スイス国際共同研究チームは、アゾールに耐性を持つ複数の白癬菌Trichophyton indotineaeで、アゾールの作用標的分子であるlanosterol 14α-demethylases(CYP51)が過剰に産生されることを発見しました。そして、CYP51タンパク質をコードするCYP51B遺伝子がゲノム上で重複を繰り返し、タンデムリピート構造を形成したことがCYP51タンパク質の過剰産生を引き起こし、アゾール耐性の獲得につながったと結論付けました。
今回、同国際共同研究チームがこの新規薬剤耐性化メカニズムのより詳細な解析を行った結果、アゾールに耐性を持つ白癬菌のゲノム中に形成されるCYP51B遺伝子のタンデムリピート構造には2つの様式があること、そしてゲノム編集技術を用いてこれらのタンデムリピート構造を取り除くと、アゾールに対する白癬菌の感受性が回復することを明らかにしました。
引き続き詳細な研究を進めることで、アゾールに耐性を持つ白癬菌とそうでない白癬菌の簡便な識別が可能となり、適切な治療薬の選択の効率化につながるものと期待されます。

また、本研究成果は山田准教授が筆頭著者・責任著者として論文を取りまとめ、世界最大の生命科学系学会の1つである米国微生物学会(American Society for Microbiology: ASM)が出版するAntimicrobial Agents and Chemotherapyに掲載されました。

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当日の様子01
当日の様子02

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