2025年09月12日
2025年9月12日(金)、帝京大学理工学部総合理工学科准教授 高山優子と同学科准教授平澤孝枝は、久留米大学分子生命科学研究所教授 齋藤成昭氏との共同研究により、従来成長促進として使われている魚油に代わる油脂生産酵母から作られるウナギ用サプリメントを開発しました。
現在流通しているウナギの多くはシラスウナギを採取して養殖していますが、シラスウナギの捕獲量は年々減少しており価格がどんどん上昇しています。また、魚粉を主原料とするウナギの餌には、成長を促進するため魚油を添加していますが、水中で分離した魚油によって水質が悪化する問題があります。
本研究グループが開発したウナギ用サプリメントは、魚油の代わりに油脂生産酵母を利用しています。油脂生産酵母は、中性脂肪(トリアシルグリセロール)からできた大きな油滴を自身の細胞内に貯め込むといったユニークな性質を持っているため、餌から分離して水を汚すことがありません。油脂以外にもビタミン類やミネラルなどの栄養素が酵母には含まれています。油脂を貯め込んだ酵母をサプリメントとして餌に混ぜてウナギに食べさせると体重と胴回りが早く大きくなり、体重増加を比較すると油脂を貯めた酵母(サプリ酵母)を食べたウナギは、油脂を貯めていない酵母を食べたウナギのおよそ2倍の速さで成長することが明らかになりました。
油脂生産酵母を使用したサプリ酵母をウナギに食べさせることで早く大きく成長し、より早く身の厚いウナギを出荷できる様になります。育成にかかる時間が短縮され、必要な餌代や飼育費用が抑えられることから、この環境に優しいサプリメントが実用化すると、お財布にやさしくて脂ののったおいしいウナギが提供できることが期待されます。
本研究成果は、2025年9月12日(金)、「月刊BIO INDUSTRY」に掲載されました。
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