2025年06月17日
2025年6月17日(火)、帝京大学医学部附属溝口病院第四内科学講座准教授 河原崎宏雄は、福島県立医科大学大学院医学研究科臨床疫学分野特任教授 栗田宜明氏らとの共同研究で、日本全国の慢性腎臓病(CKD)患者475人を対象としたアンケート調査を実施し、腎代替療法(RRT)の選択における「共同意思決定(Shared Decision-Making:SDM)」の認識・関与してほしい職種・実施してほしいタイミングに関する実態を明らかにしました。
調査の結果、約8割の患者さんが「SDMが行われた」と回想する一方、腎代替療法選択の前にSDMの概念をよく知っていた人はごく少数に留まりました。RRT選択の話し合いでは、病気や治療法に関する情報よりも、日常生活への影響や経済的負担、家族への影響が重視され、生活に関する情報が求められていることが分かりました。また、SDMが行われたと感じている患者さんでは、複数回のRRT選択外来の受診(看護師の関与、時間をかけた説明を伴う外来)が寄与していたことが明らかになりました。そして腎臓専門医だけでなく、かかりつけ医や医療ソーシャルワーカーの関与が望まれ、多職種チームによる支援の必要性が示されました。
本研究成果は、患者さん中心の選択を支える体制整備の重要性を示唆するものであり、医療政策にも有用な示唆を与えるものと期待されます。
本研究成果は、2025年5月19日(月)、科学誌「Kidney International Reports」に掲載されました。