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2022年12月13日

八王子キャンパスウスビ・サコ氏の特別講演を行いました

2022年11月28日(月)、帝京大学外国語学部外国語学科講師 鵜飼敦子のフランス事情Ⅱの講義で、京都精華大学教授 ウスビ・サコ氏をゲストスピーカーとしてお招きし、特別講演を行いました。サコ氏は西アフリカのマリに生まれ大学時代を中国で過ごし、1991年に来日して以来31年間日本で暮らすという経歴を持ち、2018年4月から2022年3月まで京都精華大学で学長を務めました。

当日は、和風建築のグローバル空間「OUCHI COMMONS」や、留学生が日本語を学ぶ「日本語教育センター」を見学いただいた後、「フランスとフランコフォニーに関する私の位置付け」と題し、旧フランス植民地であるマリにおけるフランス語・フランス文化とマリ文化の関係や言語・文化の多様性についてお話しいただきました。
マリは「フランコフォニー」と呼ばれる、フランス語を主言語・準主言語にする人びとで構成される旧フランス植民地の共同体に属しています。マリの公用語はフランス語であるため、学校教育はフランス語で行われる一方、家庭では民族の言葉(サコ氏の場合はバンバラ語)を使用し、日常的に複数言語に触れ言語を使い分ける環境で育ったサコ氏は「フランス語が非現実、バンバラ語が現実のような感覚があった」と当時の言語体験を振り返りました。また、マリには中庭文化という中庭を中心に見ず知らずの人と生活を共にする文化が根付いているため、常に他人が家の中におり、「両親だけでなく、身近な大人に叱られたり物事を教えられたり、まさに赤の他人に育てられた」と、マリの文化を紹介しました。さらに、グローバル化が進む社会においては、共生社会の実現のためにはマイノリティを保護したりするのではなく、マジョリティの意識改革が必要であり、それは人種・性別・宗教・民族などのダイバーシティ(多様性)を認識し認めることだと自身の留学生としての来日経験を交えて説明しました。
さまざまな物事が国境を越えて流動する現代は、自国の価値観だけで生きていくことが難しくなり、アイデンティティが崩れる人も多くいますが、何より大切なのは「自分の当たり前が他人の当たり前ではないことに気づくこと」と講義をまとめ、最後に「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければみんなで進め(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)」というアフリカのことわざを受講者に贈り、講演を終了しました。

鵜飼講師からは「フランス語・フランス文化というとフランスが一番に思い浮かぶと思うが、フランコフォニーの国にも目を向ける必要がある。今日の講演を今後の学びのヒントにしてほしい」と学生へコメントがあり、さまざまな気づきのある時間となりました。

当日の様子01
当日の様子02
当日の様子03
当日の様子04

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