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2017年05月25日

片岡明久助教が国際科学雑誌「JACC(Cardiovascular Imaging)」にて研究成果を発表しました【医学部】

帝京大学医学部内科学講座・助教 片岡明久を中心とする研究グループが、経皮的大動脈弁留置術の中期的予後が不良となる事例を明らかにし、その研究成果を2017年5月17日(水)、国際科学雑誌『JACC: Cardiovascular Imaging』オンライン版にて発表しました。

これまで、日本人における奇異性低流量低圧較差に起因する重症大動脈弁狭窄症は、世界のエビデンスとは異なり、自然予後が良いとされる一方、経皮的大動脈弁留置術患者の国内エビデンスもありませんでした。

今回、経皮的大動脈弁留置術が必要となる病態では、求心性肥大を呈している割合が多く、大動脈弁狭窄症解除後も左室駆出率が保持された心不全状態と考えられることが実証され、術後も厳密な内科的管理が必要であることが本研究によって明らかになりました。

本研究は、9施設合同のOCEAN-TAVIレジストリーにより、723名の経皮的大動脈弁留置術を施行した体格の小さい日本人高齢者の中で、奇異性低流量低圧較差―重症大動脈弁狭窄症患者を対象に予後を調査しました。

調査では欧米のエビデンスと同様に、経皮的大動脈弁留置術を施行しても、通常流量高圧較差―重症大動脈弁狭窄症と比較して中期的予後が悪く、また、低流量は手術後の心血管死亡の独立した予測因子でもあることがわかりました。さらに、全死亡・心血管死亡を予測する低流量の拍出係数は35.3 ml/m2であり、欧米のガイドラインが推奨する35.3 ml/m2未満は体格の小さな日本人にも適切であることが証明されました。

本研究のポイント

  • 日本人の奇異性低流量低圧較差―重症大動脈弁狭窄症は、世界のエビデンスと違い自然予後は良いとされていた。また、経皮的大動脈弁留置術患者に対しては国内のエビデンスはなかった。
  • 日本人の奇異性低流量低圧較差―重症大動脈弁狭窄症は、経皮的大動脈弁留置術を施行しても中期的予後は不良であることを初めて明らかにした。
  • 本成果によって、経皮的大動脈弁留置術術後も厳格な内科的管理の必要性があることが分かった。

発表資料

JACC: Cardiovascular Imaging 「Prognostic Impact of Low-Flow Severe Aortic Stenosis in Small-Body Patients Undergoing TAVR」

研究発表者紹介

片岡明久 助教

片岡明久 助教

帝京大学医学部 内科学講座 助教

2003年高知医科大学卒。聖路加国際病院、榊原記念病院で研修後、千葉大学でPhD取得。2012~2014年ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院に留学して心エコーを学ぶ。2014年12月から現職。また、欧州心血管画像学会の若手の日本代表や『JACC: Cardiovascular Imaging』誌の編集コンサルト委員も務める。

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