photo: Tomokazu Matsukawa
text: Takehiko Nakanisihi
現役経営者の卒業生がキャンパスに訪れ、
当時から現在までを振り返る連載企画。
今回は、オンライン診療プラットフォームを運営する
医療テックスタートアップ「ネクイノ」の
創業社長 石井健一さんが来校しました。
株式会社ネクイノ
帝京大学
薬学部卒業
株式会社ネクイノ
代表取締役
石井 いしい 健一 けんいち さん
| 本社所在地 | 〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1-1-3 大阪駅前第3ビル29階 1-1-1号室 |
|---|---|
| 企業理念 | 世界中の医療空間と体験をRe▷Designする |
| プロフィール | 帝京大学薬学部2001年3月卒業。外資系製薬会社に入社し、MR(医療情報担当者)として臓器移植プロジェクトなどに従事。2013年に大学院でMBA(経営学修士)を取得し、医療系コンサルティングファームを経て、2016年に株式会社ネクイノを創業。 |
株式会社ネクイノは、2016年の遠隔診療に関する規制緩和の動きを背景に産声をあげた。創業以来、ICTの活用によって医療と生活者をつなぎ、コミュニケーションを変革することに徹底してこだわってきた。その目的は、医療業界の課題を解消するためのイノベーションを、社会に実装することにある。医療にバックグラウンドを持つ有志と共に起業し、現在も最前線で舵取り役を務める石井健一さんは薬学部の卒業生。当時は少数派だったMR職に就いたことが、医療現場で問題意識を抱く起点となり、課題を解消するための起業へとつながっていく。現在は社員数70人超の企業に成長。主力事業であるオンライン診療プラットフォームサービス「スマルナ」は、アプリダウンロード累計130万件を超えている。まだ世の中にない商品サービスを提供する医療テックスタートアップとして、強みになっているのは「医療現場の構造的な課題と、生活者と医療の間にあるギャップに着目したこと」と語る先輩の歩みをひも解く。
多くの学友は薬剤師になりましたが、私は性分として人と同じ道を歩みたくありませんでした。そこで、当時は就職氷河期で狭き門でしたが、製薬会社のMR職に就くことにしました。今でもキャリアの礎となっているのは医療の専門知識であり、薬剤師と名乗れる国家資格を取得して良かったと感じる場面は多いです。昨年シリコンバレーやスタンフォード大学を視察しました。スタートアップやイノベーションの最新事例を肌感覚で学び、現地でビジネスを展開する方がたの話を聞きました。こうした経験を、より若い頃に積むことは将来の糧になるはずです。違う環境に身を置き、学生時代にしかチャレンジできないことにも時間を費やしてほしいと思います。
MRとしてプライマリーケアの領域に従事した後、臓器移植のプロジェクトを支援しました。その中で目の当たりにしたのが、患者さんを救うために人生をかけて現場に立ち続ける医療従事者の姿でした。一方で、医療現場の実態が世間に十分伝わっていないことに問題意識を抱くようになりました。こうした背景から、大学院では「なぜ日本の医師は忙しいのか」というテーマで研究を行いました。大きなウエイトを占めていたのは患者さんとのやりとりに要する時間でした。患者さんが自身の医療に関する情報に触れる機会が限られていることもその要因の一つであると分かり、新たなコミュニケーションの仕組みの必要性を強く感じました。そこで、遠隔医療サービスの立ち上げに奔走したのです。
逆張りという意味では、スタートアップが集中する東京ではなく、製薬企業が多い〝薬のまち〞大阪で創業しました。当初は、通院する高齢者に向けた自由診療のサブスクリプションサービスを想定していました。しかし、現役世代の健康課題を解決したいと考えるようになり、医療全体を見渡してみると、生活者との間に橋が架かっていないテーマが「女性の健康」であることに気づいたのです。女性特有の悩みごとや困りごとは、医療職の方と生活者との間にある前提や情報量の違いから、認識のズレが生じやすい領域といえます。コミュニケーション上の諸問題を、テクノロジーで解決する我々の取り組みにぜひ注目してください。これからも多様な医療現場の課題を解消するため、まだ世の中にない商品サービスを提供していきます。後世に「日本の医療も劇的に変わったね」と評価される会社に育てていきたいと考えています。
2016年6月に創業。女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテック市場に参入し、インターネットを用いた遠隔医療サービスの企画・運営、システム開発・運営、医療機関へのコンサルティング事業を行う。主力事業として、婦人科領域に特化したオンライン診療プラットフォームサービス「スマルナ」を運営。
ひさしぶりに訪れた母校。新旧の建物が入り混じるキャンパスを先輩がさんぽ。
相模湖キャンパス※で学んでいたので板橋キャンパスは初めての訪問です。
※帝京大学相模湖キャンパスは2012年に移転しました。
教員となった学生当時の先輩と思い出話に花が咲きます。
次は医学総合図書館に行ってみました。
薬剤師の国家試験対策コーナーもあるのは嬉しいですね !
CBT試験やサテライトでも利用される施設に「感心しました」。
「私の学生時代にも欲しかったぁ~」 最先端の教育環境に驚きました。
せっかくなので
卒業証明書を発行しよう!
「自分に“もっと勉強しろ!”と言いたくなりました」 活力を得てキャンパスを後にしました。
オンライン診療でピルを処方してもらえるサービス
アプリのダウンロードで生理用品が無料で受け取れるサービス
2016年6月に創業。女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテック市場に参入し、インターネットを用いた遠隔医療サービスの企画・運営、システム開発・運営、医療機関へのコンサルティング事業を行う。主力事業として、婦人科領域に特化したオンライン診療プラットフォームサービス「スマルナ」を運営。