2020年06月16日
帝京大学理工学部バイオサイエンス学科講師 宮本皓司が、東京大学生物生産工学研究センター准教授 岡田憲典氏、東京農工大学大学院農学研究院教授 川出洋氏、浙江大学教授 Longjiang Fan氏を中心とする研究グループと共同で行った研究成果が、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)に2020年5月14日付けで掲載されました。
コケ植物である蘚類ハイゴケは、モミラクトンと呼ばれる化学防御物質を生産することが知られています。共同研究グループは、ハイゴケのモミラクトン生合成遺伝子群がゲノム上で遺伝子クラスターを構成していることを明らかにしました。これはコケ植物における生合成遺伝子クラスターの初めての報告例です。これまでに、イネおよび水田雑草のイヌビエがモミラクトン生合成遺伝子クラスターを保持していることが明らかになっており、陸上植物の進化の過程でそれぞれの種が独自に遺伝子クラスターを獲得したと考えられます。本学では、モミラクトン生合成酵素の1つの機能解析とモミラクトン生合成遺伝子の発現解析を担当しました。
本研究は、陸上植物がどのように生合成遺伝子クラスターを獲得してきたのかを解明する重要な手がかりとなるだけでなく、モミラクトンを天然由来の農薬として利用するなどの農業への応用も期待されます。
■参考