成績上位者のみが参加できる帝京大学経済学部の「ECCP(キャリア・チャレンジ・プログラム)」。その一員としてイギリス研修に参加した山本さんは、現地で「英語で何も話せない」という大きな壁にぶつかります。思い描いていた自分とのギャップに直面した出来事は、その後の大学生活を見つめ直すきっかけになりました。考え方や伝え方を大きく変えた、小さな行動の変化から始まった山本さんの挑戦をお伝えします。
高校生の頃の私は、やりたいことがはっきり決まっているわけではなく、「大学に入ったら何か頑張りたい」と思っているような、どこにでもいる高校生でした。
そんな自分を変えたいと思い、経済学部のECCPに応募しました。成績上位者が対象で、海外研修にも参加できるプログラムと聞き、「ここで挑戦してみたい」と思ったのがきっかけです。ECCPでは、社会の出来事をどう考えるか、どう整理して伝えるかを段階的に学び、海外研修でそれを実際に試すことができるようになっています。海外研修前に、授業で政策や社会課題を分析するトレーニングを行うなど、自分なりに成長している感覚もありました。しかしイギリス・ダラム大学での研修で、その自信は簡単に崩れ去りました。現地の学生との交流の場で、英語で話しかけられた瞬間、頭が真っ白になり、何も言えなかったのです。
周りが普通に会話している中で、自分だけ何もできない。その状況が本当に悔しくて、「自分はまだ全然足りていない」と思い知らされました。
帰りの飛行機の中で、「このままで終わりたくない」と思いました。そして、「話せるようになってから話す」のではなく、「今できるレベルでいいから話してみる」と決めました。
一番の挑戦の場になったのが、アルバイト先です。それまでは外国人のお客様が来ると避けがちでしたが、自分から「May I help you?」と声をかけるようにしました。
最初は文法もめちゃくちゃで単語を並べるだけで精一杯でしたが、それでも伝えようとすると相手は聞いてくれて、会話が成立することもありました。その経験を重ねる中で、「完璧じゃなくてもいい」と思えるようになりました。
今では街中でも、困っていそうな外国人を見かけたら声をかけるようにしています。やってみて初めて、「行動すれば状況は変わる」と実感しました。
こうした日常の中で行動を変えていくうちに、「まずやってみる」という姿勢が、大学での学び方にも影響するようになりました。授業やゼミの内容も、以前より「自分に関係のあるもの」として捉えられるようになったと感じています。
ゼミでは「若い世代の金融教育」をテーマに、学生へのアンケート調査を行いました。その結果、投資に興味はあるものの、実際には行動に移せていない人が多いことが分かりました。
自分自身も行動に踏み出せなかった経験があったからこそ、その結果に強く共感しましたし、「なぜ行動できないのか」を考えるようになりました。また、年金制度について専門家の方の話を聞く中で、それまで遠い話だと思っていた社会の仕組みが、自分の将来とつながっていることにも気づきました。
こうした気づきをきっかけに、私自身も証券口座を開設し、投資に挑戦しました。実際に行動してみることで、ニュースで見ていた経済の動きが、自分に関係するものとして理解できるようになり、学びがより現実に結びついたと感じています。
高校の授業までは先生の話を聞くことが中心でしたが、大学に入ってから、授業やゼミで自分の考えを話す機会が増えたことで、「うまく伝えられない」という課題にも気づきました。
そこで意識するようになったのが、「結論から伝える」という話し方です。『ECCP(論理的思考)』という授業で、物事の本質を掴み、筋道を立てて説明するノウハウを学んだことで、自分の考え方を整理して伝えるスキルを身につけたことは大きな成長でした。アルバイト先でもゼミでも「話し方が分かりやすいね」と褒められるようになり、自分の意見を論理的に言えるようになったと実感しています。この考え方を取り入れることで、以前よりも相手に伝わる実感を持てるようになりました。
イギリスで話せなかった経験も、振り返ると語学力の問題だけではなく、「考えを整理して伝える力」が足りていなかったからと気づきました。
今では、ECCPでの学びを通して、以前よりも自信を持って自分の意見を伝えられるようになったと感じています。