全中優勝、U-20日本代表、アジアリーグでのプロキャリア――。アイスホッケー選手として数々の経験を積んできた乾さんは、競技者として第一線で活躍する一方、大きなけがを経験したことで支える側の道を志しました。現在は柔道整復師とアスレティックトレーナーをめざして学びながら、高校アイスホッケー部のコーチとしても活動。学内での学びと現場での指導を両立しながら、自らも成長を続けています。
大学生活の中で最も力を注いできたのは、柔道整復学科での学びと、高校アイスホッケー部コーチとしての活動の両立です。現在は栃木県内の高校チームを指導するほか、小学生から高校生まで幅広い年代の選手育成に携わっています。さらに学生トレーナーやアイスホッケー連盟の強化活動にもかかわり、競技の普及や強化にも取り組んでいます。
私自身、競技者として長くアイスホッケーに打ち込んできました。全国大会優勝や日本代表、プロリーグでのプレーなど、多くの経験を積ませてもらいました。その中で培った知識や経験を、今度は次の世代に還元したいという思いが強くなり、指導者としての活動を続けています。
昨シーズンは、地元・栃木県で開催された全国高等学校総合体育大会(インターハイ)に向けた指導に特に力を注ぎました。本来、インターハイが行われる1月末は大学の期末試験と重なるため、これまでは帯同できていませんでした。しかし昨シーズンは地元開催という特別な機会でもあり、試験の合間を縫いながらチームと時間を共にしました。その結果、地元の声援を受けたチームは全国ベスト8に進出。近年なかなか結果が出せていなかった中で、一つの成果を残すことができました。現在はチームスタッフとともに、さらなる飛躍をめざして全国ベスト4に向けた取り組みを進めています。
とはいえ、その道のりは決して簡単ではありません。チームの練習は週5〜6日。帰宅は夜10時を過ぎることも珍しくなく、休みは月に数日程度です。学業と現場指導の両立は常に時間との戦いです。それでも、高校生活のすべてをかけて挑戦する選手たちの姿が、「自分も負けていられない」という気持ちを支え、努力を続ける原動力になっています。
選手たちは夢や目標を持って全国各地から集まってきます。その成長に少しでも貢献したいという思いから、シーズンを通してトレーニング計画や育成方針を考え続けています。オフシーズンにはパフォーマンス向上や外傷予防のためのフィジカルトレーニングを実施し、シーズン中は氷上で成功と失敗を繰り返しながらチームづくりを進めていきます。コーチとしてチームに携わって4年が経った今でも、自分自身はまだまだ未熟だと感じています。だからこそ、選手たちと同じように失敗から学び、改善を重ねることを大切にしています。
競技者時代、スケートの刃で大腿二頭筋の腱を切断するという大けがを負い、3カ月の入院と3カ月のリハビリを経験しました。当時はプロ選手として活動していたため、「再び競技に復帰できるのか」「次のシーズンの契約はどうなるのか」といった大きな不安を抱えていました。そのような苦しい状況の中で、医療従事者やリハビリスタッフをはじめ、多くの方に支えていただきました。この経験を通して、いつか自分も人を支える側になりたいと思うようになり、柔道整復師とアスレティックトレーナーをめざすようになりました。
現在の学びの中で特に興味を持っているのが解剖学です。筋肉や神経、骨格など人体の構造を学ぶことで、競技パフォーマンスやけがとの関係をより深く理解できるようになりました。例えば、大腿部のような大きな力を生み出す筋肉と、目の周りのような精密な動きを担う筋肉では、神経の支配する割合が大きく異なります。こうした人体の精巧な仕組みを知るたびに新しい発見があり、本当に面白いです。
また、授業で学ぶ外傷や障害、コンディショニングに関する知識は、コーチとして活動する現場でも生かされています。大学で学んだことを現場で試し、現場で感じた課題を再び大学に持ち帰る。その循環が、学びをより深いものにしています。
帝京大学での学生生活を振り返ると、多くの先生方との出会いが大きな財産になっています。進路の相談から学業の悩みまで、先生方はいつも親身に向き合ってくれます。ゼミでお世話になっている庄司先生や、解剖学を担当されている星先生の存在は特に大きいですが、魅力的な先生ばかりで、名前を挙げ始めるときりがないくらいです。
学内には入学前には想像できなかったほど多くの学びが広がっており、毎日が新しい発見の連続です。寝ている時間やスマートフォンを触っている時間がもったいないと感じるほど、学問の面白さに引き込まれています。