「なぜ古墳はこんな形をしているのだろう」。そんな素朴な疑問から、関口さんの考古学への探究は始まりました。大学では古墳時代の葬送儀礼や死生観を研究する一方、帝京大学総合博物館のミュージアムアシスタントとして展示づくりにも参加。過去の人びとの営みを読み解き、その価値を社会へ伝える中で育まれた「調べる力」と「伝える力」に迫ります。
私が現在ゼミで取り組んでいるテーマは、「文字のない時代に、人びとはどんなお葬式をしていたのか」です。
私の地元には古墳が多く、子どもの頃からいわゆる「お墓」がとても身近な存在でした。「どうしてこんな形をしているのだろう」といった素朴な疑問が、考古学に興味を持った最初のきっかけです。また、親族の不幸があった際、地域によって葬送儀礼が異なることに気づき、「なぜ同じ国や時代でも、地域によってこんなに違いがあるのだろう」と強い関心を持つようになりました。
現在は高木ゼミで古墳時代を中心に、遺跡や遺物を科学的に分析し、その結果をもとに、当時の人々の社会構造や死生観を読み解いています。お別れの儀式は、形こそ違っても過去から現代まで、そして世界各地で行われてきた人類共通の営みです。遺跡に残された痕跡をたどると、人々が故人を悼み、その存在を記憶し続けようとしていた姿が見えてきます。時代や地域が違っても、大切な人を思う気持ちや、人とのつながりを大切にする思いは変わらないのだと感じています。
考古学では、遺跡や遺物の向こう側にいる人びとの暮らしや価値観を想像し、「なぜそうしたのか」を考えます。過去を理解しようとする学問であると同時に、今を生きる私たち自身を見つめ直す学問でもあると感じています。
研究を進める中で、「知ること」と同じくらい「伝えること」も重要だと考えるようになりました。その実践となっているのが、帝京大学総合博物館のミュージアムアシスタントです。
特に印象に残っているのは、博物館の開館10周年記念企画で展示物の説明文を作成した経験です。
専門外の内容を来館者に分かりやすく伝えるためには、まず自分自身が十分に理解しなければなりません。関連する文献や資料を読み込み、「どのような言葉なら専門知識のない方に伝わるのか」を考え、職員の方の助言を受けながら修正を重ねました。また、展示づくりは説明文を書くだけではありません。照明の位置や明るさを調整したり、資料を良好な状態で保存するための温湿度管理も欠かせません。
こうした活動を通して、学芸員の方々がどのような意図で展示を構成し、来館者へメッセージを届けているのかを実感するようになりました。以前から趣味だった博物館めぐりでも、展示の見せ方や説明文の工夫に自然と目が向くようになりました。ミュージアムアシスタントの経験から、研究と社会をつなぐ博物館の役割を、実践的に学ぶことができたと感じています。
ゼミでの研究やミュージアムアシスタントとしての活動を通して、私のなかで最も大きく変わったのは、物事に対する見方です。
以前は一つの正解を求めることが多かったのですが、今では「なぜそのようになったのか」「別の見方はできないか」と考えるようになりました。一つの視点だけで判断するのではなく、グラデーションのある物事を多角的に捉える姿勢が身についたと感じています。
また、大学という多様な環境のなかで、多くの学生や教職員の方々とかかわる機会にも恵まれました。入学当初は初対面の人と話すことがあまり得意ではありませんでしたが、授業やミュージアムアシスタントの活動を通して人とかかわる機会が自然と増え、少しずつ変わっていきました。相手の話に耳を傾け、自分の考えを伝える経験を重ねるなかで、以前よりも落ち着いて人と接することができるようになったと感じています。
研究でも博物館活動でも、私が学んだのは「知ること」と「伝えること」の大切さです。過去の人々の営みや文化を理解し、それを分かりやすく伝えることは、人と人、人と文化をつなぐ大切な役割を果たします。
将来は、こうした大学で培った学びを生かし、誰かの学びや喜びにつながる仕事に携わりたいと考えています。研究や博物館活動を通して磨いてきたスキルを生かしながら、これからも「なぜ?」という問いを大切にし、人と人、人と文化をつなぐ存在でありたいと思います。
大学生活で得た学びや経験の多くは、先生方や友人、職員の方々との出会いや支えの中で生まれました。大学には、さまざまな価値観や興味を持つ人たちがいます。ぜひ積極的に色々な人と関わり、自分なりのつながりを育んでみてください。
思いがけない出会いや経験が、新しい興味や可能性につながるかもしれません。その一つひとつの出会いが、きっと未来の自分を支える力になるはずです。