イラン・イスラム共和国ゴルガーン考古博物館において保存修復事業を開始

帝京大学文化財研究所は、イラン国立博物館とゴルガーン考古博物館と共同で、青銅器の共同保存修復事業を開始しました。本事業は住友財団の海外の文化財維持・修復事業助成を受け、2023年3月8日から15日まで現地に滞在し、青銅器の科学的調査や状態調査を実施しました。

対象とする資料は、2001年と2010年にまとまって発見された約750点もの一括資料であり、後期青銅器時代(紀元前1千年紀)のものと推測されています。イランだけでなく世界的にも類例が少ない大型青銅器を主とする一括埋蔵資料であり、資料の用途や埋蔵理由など様々な謎があります。その形態はイランの中央高原、イラン北部、ロレスタン青銅器、中央アジアのバクトリア・マルギアナ文化などとの類似性が指摘されていますが、一切類例がない形式の資料もあります。

本事業では、大型資料を含む5点を選定し、その科学的調査や保存修復を通して、これらの資料群の特徴を明らかにし、今後の展示活用に貢献することを目的としています。2023年度は、さらに保存修復処置を実施する予定です。

(藤澤 明)

 対象とした資料の一部(盾)

 状態調査の様子

ページのトップへ戻る

l