水中文化遺産研究:本栖湖における調査

帝京大学文化財研究所では、令和4年度から「水中考古学」の調査・研究にも取り組んでいます。

3月30日、富士五湖のひとつ本栖湖で水中ドローンを使った確認調査を実施しました。

研究所のある「海のない」山梨県ですが、本栖湖の水中遺跡は有名です。湖底から縄文や古代の土器片などが確認されています。なぜ湖底に遺物があるのか、遺跡形成の要因について詳しいことはわかっていません。もともと剗の海と呼ばれた大きな湖があり、平安時代の富士山の噴火に伴う溶岩流が流れ込み、水かさが増して水没した遺跡であるという説や遺物が流れ込んで堆積した説などがあります。今後、自然科学の研究者と協力して遺跡の解明を目指す予定です。

今回は、今後展開する研究事業の予備調査として、水中ドローン活用方法の検討および湖底面の観察を行いました。

ドローンの操縦に慣れれば、潜水できない研究者・文化財担当者でも自ら遺跡・遺構の目視確認ができることがドローン調査の一つの利点です。本州随一の透明度を誇るとされる本栖湖ですが、湖底のシルトの堆積が年々増えているという報告などもあり、継続して観察を行う予定です。

(佐々木蘭貞)


本栖湖の湖底


水中ドローンを使った調査

ページのトップへ戻る

l