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2020年12月11日

宇都宮キャンパス宇宙科学研究ユニットがはやぶさ2地球最接近後のX-band信号の観測実験に成功しました

2020年12月6日(日)14:12から18:19、および9日(水)12:30から14:30に、帝京大学宇都宮キャンパス理工学部航空宇宙工学科棟屋上にある直径2.0mアンテナ設備を用いて、小惑星探査機はやぶさ2が、採取した小惑星のサンプルを積んだ再突入カプセルを放出するために地球に最接近した後で、地球から遠ざかっていく際のX-band信号(周波数:8.4GHz)の観測実験を行い、はやぶさ2との距離が22万km〜30万kmおよび136万km〜139万kmの範囲において、連続的な信号の受信に成功しました。
宇宙航空研究開発機構:JAXAが保有する直径60m級・30m級アンテナ設備の同一時間帯における方位角/仰角の条件や、公開されているはやぶさ2の周波数情報、国内外のアマチュア無線局からの受信報告などと照らし合わせ、受信した信号は、はやぶさ2由来の信号であることが確認できました。

この観測実験は、2018年に設置した同設備の性能を実証する一環として計画しました。直径2.0m級の小さなアンテナにおける深宇宙からの信号受信事例は少なく、アンテナシステム全体の成立性を評価するデータ取得であるとともに、将来に向けた深宇宙ミッションへの基幹となる技術を、低コストで実現するための学術的な意義を持ちます。
本学理工学部航空宇宙工学科准教授 河村政昭、同学部学科講師 中宮賢樹および鶴田佳宏らの宇宙科学研究ユニット主導のもと、学生クラブ団体である宇宙システム研究会の学生メンバー・支援職員、同学部学科の学生・スタッフが、卒業研究等の一環として、装置の評価やアンテナ設備の調整、事前試験、データ整理、学内工場での部品の製造等を行い実現しました。
設置後のアンテナの性能評価実験には、アマチュア無線家のJA10GZ 金子 明氏に技術的な支援をいただきました。また今回のはやぶさ2の周波数に対応する追加整備にあたっては、アマチュア無線家のJA6XKQ 武安 義幸氏に機材および技術的な支援をいただきました。

直径2.0m級のアンテナではやぶさ2からの信号を受信できたことは、学生への教育に価値のある知見であると同時に、学術的にも価値が高い貴重なデータが取得できたと言えます。
これらの成果をもとに、JAXA革新的衛星技術実証プログラムで打ち上げられる予定のTeikyoSat-4のミッションを成功させ、将来的には深宇宙探査などへの応用に繋げていきます。

当日の様子01
屋上のアンテナ設備
受信した信号の参考画像
受信した信号の参考画像
受信した信号の参考画像
受信した信号の参考画像

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