母親哲学カフェを開催しました

2018年04月27日

2018年4月23日(月)、帝京大学宇都宮キャンパスにて、母親哲学カフェを開催しました。

この企画は、地域連携・高大接続の取り組みの一環で、栃木県宇都宮市の市民サークル団体マザーズガーデン「あすなろ」が主催し、本学総合基礎科目講師 江口建がまとめ役としてファシリテーターを務め、当日は、マザーズガーデン「あすなろ」から10人、豊郷中央小学校「放課後子どもクラブ」から3人、本学教員4人、そして、本学学生も参加しました。

母親哲学カフェは、さまざまなことを「考え」、それを相手に「言葉で伝える」ことを目的としており、主に子育てや家族について考える時間や対話する機会を設けています。今回は、「道徳を教科として学校に導入することについて」をテーマとしました。

 

学習指導要領が改訂され、小学校は2018年4月から、中学校は2019年4月から道徳が教科となります。「教える」道徳から「考える」道徳へ、「心情を理解する」道徳から「議論する」道徳へと方針が変化し、母親たちは家庭や学校での教育に対して期待と不安を抱えています。また、教師自身も、実際にどのように子供たちに考えさせるのか、どのように議論をするのかという不安を抱えているのが現状です。

そこで、アメリカの学校教育プログラムとして開発され、現在では世界中で試みられている哲学対話の手法を用いて、教師や親が実際に道徳教育について考え、対話を行いました。

 

賛成・反対の2つの立場に分かれて対話が始まると、「道徳を教科にすると、"よい子"を演じる生徒が増えるのではないか」、「道徳の専門家がいない日本で、誰が教えるのか」、「教師自身が学ぶ機会になる」、「道徳は家庭で教えるのが基本ではないのか」、「親だけでは限界がある」、「教師の負担が増えるのではないか」など、さまざまな立場からの意見が飛び交いました。

しかし、お互いの意見をじっくり聴くうちに、賛成・反対どちらの立場も、根本にある思いや考えはそれほど大きく変わらない、ということが徐々に明らかになりました。それぞれの着眼点や重視する点、「道徳」という言葉から受けるイメージが人により異なるだけで、子どもに身につけさせたいと思う能力、学校に期待する教育のあり方は、同じであることがわかり、みせかけの「差異」や「対立」にこだわらず、問題の本質を掘り下げると、根本にある「共通項」が見えてくるということを、わずか1時間半の間に体験することができました。

 

江口講師は、「地域連携・高大連携の取り組みの一環として、地域の人びとと大学生が意見を交わし、小中高生と大学生が同じ目線で対話をする場の提供として、また、男女共同参画や女性のキャリアパスを支援する大学が提供する子育てに優しい街をつくる活動として、今後も活動の輪を広げていきたいです。」と話しています。

 

■哲学カフェとは

1990年代にフランスパリで発祥した、市民のための「哲学公開討論」企画であり、誰でも自由に出入りできるカフェが会場として選ばれたことから哲学カフェと呼ばれるようになりました。市民のための権威に縛られず、市民が自由に哲学的話題について意見交換できる場としての機能や性格を持っていましたが、それが現在では、「子どものための哲学」となだらかにつながって、日本で展開されています。

 

関連リンク

 

当日の様子1

 

江口 建 講師 紹介

帝京大学 総合基礎科目講座 講師

■専門分野: ドイツ現代哲学、現象学(特にフッサールの現象学)、自我論、時間論、身体論、地域論、教育手法(アクティブラーニング)、哲学対話、子どものための哲学、禅仏教における「食」の倫理