2017年度第2次調査概要報告(1)発掘調査および整理作業

2017年度第2次調査は、8月15日〜9月6日にかけて、春の調査で出土した遺物の整理記録作業とともに、第2シャフリスタン調査区の一部拡張と調査区および遺跡周辺の環境整備を行ってきました。

 

〜発掘および調査区の環境整備〜

着手前の第2シャフリスタン調査区の様子がこちら。

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アク・ベシムに訪れる人々のために現場は埋め戻さずにおいていましたが、今年の夏は雨が降ることもあったようで草はまだ枯れておらず、調査区一体は緑に覆われていました。

今回は春調査の廃土の移動と草の除去からはじめました。

 

IMG_6868 廃土の移動は重機を導入しました。

爪のない平バケットさえあれば、表土剥ぎをお願いしたいくらい丁寧で、上手なオペさんでしたが、発掘は今回も人力で実施しました。

 

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2次調査では瓦帯西側の拡張と新た東西トレンチを設定しましたが、乾燥が著しく土の状況がわかりにくい時期なので、掘削は約20cmほど、耕作土層のみに留めています。

 

 

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瓦の堆積状況を観察したトレンチでは、断面を保護するためにキルピーチを積みあげて養生する作業を行いました。

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今回の調査には、史学科の高木暢亮准教授が参加されました。

高木先生には整理作業でもご尽力いただき、多くの資料を記録・図化することができました。

 

〜第1次調査出土遺物 整理作業〜

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昨年に引き続き、今年の整理作業もビシュケク市内の宿泊地であるホテルリッチのご協力を得て、実施することができました。今回は18日間をかけて、2調査区分(第1シャフリスタン・第2シャフリスタン)の出土遺物の整理作業を実施しました。

やや過密なスケジュールでしたが、土器・瓦・磚・金属製品・骨製品等、約300点の図化と写真撮影をするとともに、吉田豊先生(京都大学)にはソグド文字資料調査、植月学先生(弘前大学)には骨資料調査を実施していただきました。

 

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整理作業はまず一次調査の際に記録用に選別した遺物の注記から行い、接合、実測・拓本、写真撮影の手順で行いました。

 

ss 2017-09-18 16.56.11  土器に墨書されたソグド文字の観察をされている吉田先生。

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骨資料の計測作業されている植月先生。今回は出土した骨資料のうち、馬を中心に観察していただきました。

今後は国内(文化財研究所)において報告書作成作業を行っていきます。

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本調査は、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究B(海外学術調査)(課題番号15H05166)研究代表者 山内和也「中央アジア、シルクロード拠点都市と地域社会の発展過程に関する考古学的研究」と連携して実施している。

なお上記の報告のうち、発見された遺構の保存と活用については、帝京大学による国際協力活動として実施したものである。これについては次稿より報告する。

 

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