帝京大学医真菌研究センター

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分子生物学・遺伝子診断

臨床検体やその培養から得られる病原真菌は形態学的な同定が困難な場合が珍しくありません。一般的に、臨床材料から得られる真菌は菌種特異的な表現形質に乏しく、また、おかれた環境や種々の要因によって様々な発育形態をとることが多いからです。深在性および表在性真菌症の予防・診断・治療上必要な原因菌を特定するにはDNA 塩基配列の解析を行うことが最も確実です。私たちは既にさまざまな迅速かつ確実な遺伝子診断法を開発してきました。

a: 真正子嚢菌綱 b: 半子嚢菌綱 c: 古生子嚢菌綱 d: くろぼ菌綱 e: さび菌綱 f: きんじん綱 g: 接合菌綱 i: エントモフトラ目 ii: ムーコル目

私たちが開発した診断法はすでに実用化されているものも多く、培養形態や糖の資化性等の表現型では同定が困難な菌種も確実に同定することができます。

また、臨床材料のみならず、真菌DNA のデータベースに基づいた広域な真菌についての解析方法を編み出したことにより、新種の真菌の発見および系統分類もスムースに行えるようになりました。これらの先駆的な研究成果により、今まで充分な同定・診断の行えなかったヒトおよび動物の新たな病原真菌の病態解析が進められています。

深部皮膚プロトテカ

Prototheca cutis

ウシ乳房炎

Prototheca zopfii

現在、私たちは国内外の医療機関・研究機関からの依頼を受け、真菌研究に関する助言、共同研究、新種記載等の協力を行っています。ヒト以外の動物、特に希少動物の真菌感染症についても、国内外の動物園と連携し、菌叢の解析、感染予防・診断・治療に関する情報提供に応じています。

希少動物(コアラ)からのサンプリングと常在菌叢の遺伝子解析

また、閉鎖空間などの特殊な環境における真菌の動態に関する研究を行っています。私たちは現在、帝京大学大学院の宇宙環境医学研究と連携し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究として国際宇宙ステーションおよび南極基地の真菌叢の解析と健康障害リスクの評価ならびに対策についての研究を行っています。