帝京大学

教職研究科

公衆衛生学研究科

ていきょう

学校教育視察


グローバルな視野をもって学ぶ

帝京大学教職大学院では、国際的視野に立って判断のできる人材育成を掲げた本学の建学の精神を受け、また今日、学校教育の抱える深刻な教育課題、グローバル化の進展による社会の大きな変動等を背景として高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教員が求められている状況をふまえ、2016年度より実際に海外の学校教育を訪問調査し、実学を通して学ぶ機会を得るための科目「海外学校教育実地研究」を開設しました。

 


実施内容

海外学校教育実地研究は海外の学校を自分の目で確かめ、現地の生徒の話を聞きながら異文化・多文化・グローバル化を体験できる科目です。今年度は2018年9月5日(水)~13日(木)、オランダ・アムステルダムとイギリス・ダラムの学校と社会教育施設を中心に学生13人が海外学校教育訪問調査を実施しました。

 

帝京大学グループダラムキャンパス

帝京大学ダラムキャンパス内にて

 

 

オランダでは、モンテッソーリ教育(※1)やイエナプラン教育(※2)を行っている学校、そして意欲的に情報通信技術(ICT)を活用している公立小学校や中等教育学校を訪問しました。参加した学生は、「主体的に学ぶ姿を目の当たりにし、そのための教師の役割や教具の教育的意味を考えるきっかけとなった」と話しました。

また、シーボルトにゆかりがあるライデン大学では、2人の教授によるワークショップに参加しました。短時間でしたが、アムステルダム国立美術館に立ち寄り、レンブラントとフェルメールといった膨大な絵画・諸文化財に触れ、オランダの同時代史の理解、日本の鎖国と蘭学との関係を実地研究を通して理解し、その教育的価値を再認識した濃密な時間となりました。

イギリスではダラム大学内にある帝京大学ダラムキャンパスの施設を訪問しました。ダラム大学はさまざまな映画撮影にも使用された伝統ある聖堂を取り囲むキャンパスです。ここで公立と私立のそれぞれの学校を参観し、進学システムの違い、学校・科目の選択制の源流にも触れることができました。また、新旧ポンド紙幣に描かれた人物・メッセージ、消費税率から国や地域による経済・文化の違いを知ることができ、普段の生活の中にもさまざまな「教材」があることを実感しました。

 

※1 モンテッソーリ教育:正式名は「子どもの家における幼児教育に適用された科学的教育学の方法」。整然と並ぶ色とりどりの「教具」と呼ばれる木製玩具が目に飛び込んでくる。これらはモンテッソーリの感覚教育法に基づく教材である。(参考:ミネルバ書房 教育用語辞典)

※2 イエナプラン教育:学校は、生活共同体の縮図でなければならないという考え方から、従来の学年別の学級を廃して、低学年・中学年・高学年の3集団に再編成し、児童・生徒は指導的立場と指導される立場を経験しながら集団訓練を基調とする生活共同体として学習をする。(参考:時事通信社教育用語の基礎知識)

 

【視察先】オランダ(アムステルダム)・イギリス(ダラム)

【期間】2018年9月5日(水)~9月13日(木)

 


■訪問学校等一覧

月日

訪問先等

9月5日(水)

成田空港発 → アムステルダム・スキポール空港着(オランダ泊)

9月6日(木)

モンテッソーリ初等学校と公立中等学校訪問調査(オランダ泊)

9月7日(金)

イエナプラン初等学校とライデン大学訪問調査【3】【4】

9月8日(土)

社会教育施設訪問調査

アムステルダム・スキポール空港発 → ニューカッスル国際空港着(イギリス泊)

9月9日(日)

ダラム、ヨーク社会教育施設訪問調査(イギリス泊)

9月10日(月)

学校訪問(ダラム大学)

イギリスの学校教育制度の講義とワークショップ(イギリス泊)

9月11日(火)

公立高校(コンプリヘンシブスクール)と私立高校(インディペンデントスクール)

訪問調査(イギリス泊)

9月12日(水)

~13日(木)

ニューカッスル国際空港発 → アムステルダム・スキポール空港経由

→ 成田空港着



■学生の感想




グローバル化に向けて考えること

 

スクールリーダーコース 1年 冨樫 幸乃

今回の実地研究では、オランダとイギリスという2つの国の学校を訪問することができた。私はイエナプラン教育に興味を持ち、主にオランダの教育について事前に学んだ。そこでオランダの個別教育について知り、「実際にこのような個別教育が可能なのか」「可能だとしたら、どのように成立しているのか」という強い関心を持って、実地研究に臨んだ。

イエナプラン教育を実施している学校で案内をしてくれたオランダの小学生

実際に訪問したオランダの3つの小学校では、それぞれ教育方法の違いはあったが、「子どもは一人ひとり違う」という考えのもと、子どもたちは自分のペースで主体的に学んでいた。他人との比較ではなく、「自分が何をしたいか」、「何ができるか」が大切にされている。みんなが「特別」という環境の中で、支援を必要とする子どもたちは「特別」ではない個人として存在しているようだった。イエナプラン教育の小学校で、子どもたちに「支援を必要とする友だちをどのように受け入れ、コミュニケーションを取るか」という質問をした。「支援を必要とする友だちも私も、個性を持った一人の人であることは変わらない」「足が不自由でも、手で投げることが得意かもしれない。自分は足の不自由さを助け、投げることを教えてもらう」といった意見を聞けた。驚いたことは、その意見の内容だけでなく、その場にいたほとんどの子どもたちが発言しようという積極性だった。

日本でも個別教育が注目されているが、まだ「教員が個別に対応する」といった程度の認識であることが多い。今回の訪問で日本とは違った個別教育に触れ、本当の個性の尊重とは何か、個性の尊重から生まれる子どもの発言力について考えさせられた。グローバル社会を自分らしく生き抜ける子どもたちの教育に、これから少しでも貢献していきたい。





実際に経験する

 

教育実践高度化コース 2年 祐松 智紀

今まで海外の学校教育や文化について、話を聞いたり本を読んだり、写真や映像を見たりして学んできたが、どれも間接的な学習であり、直接海外の学校教育や文化に触れたことはなかった。

しかし、今回の実地研究を通して、実にさまざまなものに直接触れ、肌で感じることができた。

まずオランダでは、学校で子どもが一人ひとり全く異なる作業を平然としており、かといって学級崩壊のようなものは全く感じられず、「自分たちでやることを決めて自主的に活動するというのはこういうことなのか」と感じた。

風車見学の際は、実際に風車の内部で歯車の動く様子や、岩を砕いて塗料をつくっている様子を見ることができ、非常にいい経験となった。

またイギリスでは、Tynemouthにある修道院跡に行き、その中で人びとがどのような暮らしをしていたのかを垣間見ることができた。テレビでよく見るような薄茶色のレンガの建物に実際に触れ、窓のガラス絵を見て、「あぁ昔の人はここで礼拝を行っていたのか…」などと思いを馳せた。

さらにDurham Schoolでは、建物の外観等から歴史、伝統を重んじている様子が感じられ、さらに校内の案内をしてくれたSix formの学生をはじめとして多くの学生の振る舞いから、ジェントルマンらしさを感じることができた。

実際に外国の人と会話をすることで、その人の温かさ、面白さに触れ、楽しい時間を過ごせた。海外経験が少なく外国人と話すことに不安を抱いていた私にとって、貴重な経験となった。

今回の実地研究を通して、言葉では表せない、実際にそこで体験することでしか得られないものを得ることができたと感じる。



過去の学校教育視察の様子