根の再生メカニズムを解明 -園芸や農業技術の進展に寄与-【理工学部】

2017年09月07日

図書館総合展ブックレット

帝京大学理工学部バイオサイエンス学科・准教授 朝比奈雅志の研究グループは、北海道大学大学院理学研究院・綿引雅昭准教授の研究グループと共同で、植物根の再生メカニズムの一端を解明し、その研究成果を日本植物生理学会が発行する国際学術誌「Plant and Cell Physiology」にて発表しました。

 

世界中で親しまれている日本伝統の園芸芸術・盆栽作りでは、慎重に根の剪定(根切り)を行います。これは、水や養分を効率よく吸収できる若い根を、限られた空間(鉢)で再生させるためです。しかし、これまで根切りについて、農学的見地から効率

的な方法が研究されてきましたが、土の中で目視できない根の傷害応答(*1)は注目されておらず、根が再生するメカニズムについての研究はありませんでした。

 

今回、本学・朝比奈准教授と北海道大学・綿引准教授の共同研究グループは、根の再生メカニズムの解明について試み、根を切ると植物の成長と形作りに必要な植物ホルモンであるオーキシンの量が増えることを発見。また、オーキシン合成遺伝子 YUCCA9(*2) を特定し、さらにオーキシンを移動させる極性輸送(*3)も、重要な役割を果たしていることがわかりました。本学は本研究の中で、植物ホルモンの微量解析を中心に担当しました。

 

「根切り」による傷害応答と根の再生のメカニズムは、多くの植物が共有している性質です。本研究で明らかになったメカニズムを応用することで、雑草を抜いても根が再生しない状況を作り出す、もしくは根に障害が起こってもさらに根の再生を促進させるなど、園芸や農業技術の進展に寄与することが期待されます。

 

帝京大学理工学部バイオサイエンス学科では、急速に進歩するバイオサイエンスに対応するために、本研究で使用した質量分析計(LC-MS/MS)や高速液体クロマトグラフィーなど最先端の施設・設備を導入し、優れた研究成果を残しています。また、外部の研究所や他大学との共同研究プロジェクトを積極的に行っています。

 

*1 刺激に対する反応のこと。特に細胞や器官に加えられた刺激に対する直接的な反応を指す。

*2 オーキシン合成の最終段階で重要な役割を果たす酵素。

*3 たとえば茎の先端部で作られたオーキシンが根の方向に移動するなど、決まった方向にオーキシンを移動させる仕組み。植物が光や重力によって曲がる要因であることが知られている。

 

 

本研究のポイント

・「植物のたくましさ」にかかわる根の再生メカニズムを解明。

・根が傷つくと,植物ホルモンであるオーキシンの生産と輸送が促されることを発見。

・根切りが必要な盆栽をはじめとした園芸技術や農業技術の進展に期待。

 

研究論文名

 

著者

徐 冬暘(北海道大学大学院生命科学院)

繆 嘉航(北海道大学大学院生命科学院)

湯本絵美(帝京大学理工学部)

横田孝雄(帝京大学理工学部)

朝比奈雅志(帝京大学理工学部)

綿引雅昭(北海道大学大学院理学研究院)

 

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