「植物の接ぎ木癒着に関わる植物ホルモンの作用機構」を解明しました

2016年12月20日

帝京大学理工学部バイオサイエンス学科朝比奈雅志講師、松岡啓太博士研究員、筑波大学生命環境系の佐藤忍教授、名古屋大学の森田(寺尾)美代教授らの研究グループが、植物の接ぎ木で起こる組織間の再接着に働く植物ホルモンのしくみの一端を明らかにしました。

 

接ぎ木の癒着は穂木と台木の間を新たに分裂した細胞が埋めることで行われ、この細胞分裂には植物ホルモンのオーキシンが必要であることが知られています。しかしながら、接ぎ木過程におけるオーキシンを介した細胞分裂の促進の仕組みは明らかにされていませんでした。

今回、共同研究グループはモデル植物であるシロイヌナズナの芽生えを用いて、オーキシンによって誘導される2つのNAC型(NAM, ATAF and CUC)転写因子が冗長的に働いて、胚軸間接ぎ木における維管束組織の細胞分裂を促進することを明らかにしました。また、オーキシンが植物ホルモンのジベレリンの合成を促すことで、支持組織である皮層の細胞成長にかかわることも判明しました。

この研究成果は植物の傷害回復・組織再生の基礎的な分子メカニズムの解明に繋がるだけでなく、NAC型転写因子を制御することで接ぎ木の困難な植物種においても接ぎ木の実現が期待されます。

 

この成果は日本植物生理学会が発行するOxford Journalsの科学雑誌Plant and Cell Physiology(プラント アンド セルフィジオロジー)誌2016年12月号に掲載されるのに先立ち、電子版(日本時間12月16日)に掲出されました。また、研究によって得られた画像が表紙を飾りました。

 

研究の詳細は下記PDFをご覧ください。