傷ついた植物の茎が治るのに必要な遺伝子を発見

2011年09月14日

筑波大学生命環境科学研究科の佐藤忍教授と帝京大学理工学部の朝比奈雅志助教らは、傷ついた植物の茎が治るのに必要な遺伝子を特定しました。

茎を傷つけると、切断部の周辺の細胞が分裂を開始して傷ついた組織が回復します。この性質は、果菜類や果樹などで接ぎ木として利用されています。

   シロイヌナズナの茎を部分的に切断すると、3日後に髄の細胞分裂が始まり約1週間で傷が治ります。佐藤教授らは、傷の上部と下部で別々に働く転写制御因子の遺伝子が細胞分裂に必須である事を発見しました。この成果は、米国科学アカデミー紀要(電子版(早版))に 9月13日(日本時間)に掲載されました。

   茎に傷がつくと、その上部では芽から流れてくる植物ホルモンであるオーキシンがせき止められて溜ることによってANAC071という遺伝子が誘導され、一方、傷の下部ではオーキシンが枯渇することによってRAP2.6Lという別の遺伝子が誘導されます。それぞれの遺伝子の発現はエチレンとジャスモン酸という傷害ホルモンによっても促され、それぞれの遺伝子が傷の上と下で働く事により細胞の分裂が誘導されて傷が治ります。

   接ぎ木は優良品種を増やしたり薬剤を使用せずに土壌病害などを防いだりする環境に優しい技術として広く使用されており、この発見は活着性や和合性などの問題の克服につながる可能性があります。

 

掲載論文名 

Spatially selective hormonal control of RAP2.6L and ANAC071 transcription factors involved in tissue reunion in Arabidopsis.

 

Masashi Asahina, Katsuya Azuma, Weerasak Pitaksaringkarn, Takashi Yamazaki, Nobutaka Mitsuda, Masaru Ohme-Takagi, Shinjiro Yamaguchi, Yuji Kamiya, Kiyotaka Okada, Takeshi Nishimura, Tomokazu Koshiba, Takao Yokota, Hiroshi Kamada, and Shinobu Satoh

 

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America

 

本研究についての問い合わせ先

筑波大学 生命環境科学研究科 生命共存科学専攻  佐藤 忍 教授

電 話: 029―853-4672

 

帝京大学 理工学部 バイオサイエンス学科   朝比奈 雅志 助教

電 話: 028-627-7182

 

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